2013 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴルにおける製鉄の伝播と地域的・社会的適応の実証的研究
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23682010
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
笹田 朋孝 愛媛大学, 上級研究員センター, 講師 (90508764)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 考古学 / モンゴル / 製鉄 / 匈奴 / 国際研究者交流(モンゴル) |
Research Abstract |
昨年度と引き続き、モンゴル国トゥヴ県ズーン・バイトラグ川流域の調査を6月に実施した。今年度はホスティン・ボラグ遺跡製鉄地点の発掘調査、周辺地域の一般踏査、そして新たに墓の発掘も行った。 製鉄地点の発掘調査で新たに2基の製鉄炉を検出した。これまでに検出された製鉄炉はいずれも炉の下部にスラグピットを持つタイプであり、南シベリアや黒海周辺の製鉄炉と類似している。そして銑鉄を大量生産していた中国(漢)とは大きく異なる製鉄技術であった。層位的な所見や製鉄炉の構造的な特徴から、遺跡は少なくとも二つの時期(紀元後1世紀と紀元前1世紀前後)に分けることができ、製鉄炉も3つのタイプに分けることができた。タイプの違いは時期差に因る可能性も考えられるが、むしろ複数の技術系譜が一つの遺跡の中で同時期に存在していた可能性が推測された。 9月にはBUMA8(The Eighth International Conference on the Beginnings of the Use of Metals and Alloys, Nara)で研究成果を発表した。そして11月には国内外の研究者を招き、第6回愛媛大学東アジア古代鉄文化研究センター国際学術シンポジウム『鉄と匈奴‐遊牧国家像のパラダイムシフト‐』を開催し、これまでの研究成果を公表した。また研究成果が朝日新聞(12月17日)の記事として報道された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モンゴル側のカウンターパートと良好な関係を維持しながら、モンゴル国政府や地元の自治体の正式な許可を得た上で順調に調査を行い、着実に成果をあげている。また国際シンポジウムの開催、英文査読学会誌(ISIJinternational)への投稿、そして新聞記事に取り上げられたことなど、研究成果の速やかな公開も実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様にモンゴル国のフィールドで調査を継続する。今年度が最終年度となることから、補足的な調査にとどめ、研究成果をまとめることに重点を置く。研究成果は英語とモンゴル語を併記する報告書としてまとめ、モンゴルで出版することになっており、現在準備中である。
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