2014 Fiscal Year Annual Research Report
現代中国における労働権の権利構造とそのメカニズムに関する研究
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23683001
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
御手洗 大輔 早稲田大学, 法学学術院, 招聘研究員 (80553099)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 権利論 / 所有権 / 労働権 / 理論研究 / 研究方法論 / 現代中国法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、これまでの調査および分析すなわち、労使紛争を含む労使関係の実態調査とそこにおける労使双方の権利意識に関する定点観測のほか、現代中国法の前提となる権利論の形成初期における史料の整理とその分析を総括し、中国的権利論を支える法的論理の解明を目的とした。現代中国法の権利論の形成は、ソ連法の継受より始まり、社会主義改造政策期における土地私有制の否定によって理論的には確立したと言える。但し、ここで、どのような力学が作用したかについては公開史料に未だ限りがあるため、今後の課題とせざるを得なかった。 また、日本における現代中国法研究のこれまでを整理し、その課題を意識しながら現代中国の社会と法の関係を論証し、私たちの権利論とは異なる権利論に立脚することを論証した。独裁国家の法という従来の評価からの進展を試みた。否定的な評価から出発するのではなく、その法の下で営まれてきた人間の英知と法のあり方について、変わらない法的論理を探究してこれを初歩的に明らかにした。 そして、中国的権利論に立脚した現行法が、新しい法律の制定や社会秩序の不安定化など様々な原因によって変容しつつあること、それが不変の論理を堅持する中での営みであることを法学理論として論証した。とくに経済の停滞を見越した中での現行の社会保障体制の理論的限界と、立法・政策の方向性を不変の論理に照らして、その論理的整合性から論証した。強権的に映る彼らの行動や手法の中にも彼らなりに順守する「法」が存在することを明らかにした点は、従来の評価を修正する契機になると思われる。 以上の成果物として「中国的権利論」を2015年1月に出版した。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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