2011 Fiscal Year Annual Research Report
先進国におけるマイクロファイナンス機関の持続可能な経営モデル構築
Project/Area Number |
23683006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小関 隆志 明治大学, 経営学部, 准教授 (20339568)
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Keywords | マイクロファイナンス / マイクロクレジット / 貧困 / アメリカ / 金融教育 / 経営指導 / 移民 / 難民 |
Research Abstract |
平成23年度前半(4-8月)はアメリカにおけるマイクロファイナンスの状況を調べるため、マイクロファイナンスに関する専門書や学術論文、ウェブサイトの情報を幅広く収集した。また、日本初のマイクロファイナンス機関ともいえる一般社団法人難民マイクロファイナンス(現:公益社団法人難民起業サポートファンド)の事務所を訪問し、現状について聞き取り調査を行った。 平成23年度後半(9-3月)はアメリカ・フィラデルフィア市に滞在し、アメリカ東海岸地域におけるマイクロファイナンスの状況に関する現地調査を進めた。 第一に、貧困層の状況やマイクロファイナンスの市場規模を明らかにするために各種の統計データを収集するとともに、低所得者を対象に金融教育・カウンセリングを行っているNPOを訪問して聞き取りを行った。また、フィラデルフィア市西部の貧困地域において、ペンシルバニア大学・コミュニティ組織等と協力して金融・起業に関する連続講座を1-3月の3ヶ月間開催し、その講座の受講生を対象にアンケートとグループ・インタビューを行って、マイクロファイナンスに対する貧困層の認知度と需要を調べた。その結果、貧困地域におけるマイクロファイナンスの認知度はきわめて低く、いまだ充分な市民権を得ているとは言い難いが、しかし潜在的な需要はかなり大きいということが明らかになった。 第二に、フィラデルフィア、ニューヨーク、ワシントンの各都市において、マイクロファイナンス機関およびその利用者に対する聞き取り調査を行い、マイクロファイナンスがどのような事業を行って成果を上げているのか、実績がどう推移しているのかを明らかにした。また、マイクロファイナンス機関による経営面での助言指導がいかなる効果を挙げられるかを調べるため、WORCおよび経営コンサルタントの協力を得て、数名の利用者を対象に3ヶ月間の集中的な経営指導を実験的に行った。その結果、マイクロファイナンス機関は特に移民・難民や低所得者など、銀行からの融資を受けられない人々に対して資金と助言指導を行い、ある程度の実績を上げていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の計画は大部分達成した。統計資料は既にある程度入手したが、本格的な分析は24年度に行う予定である。また、平成24年度の計画のうち、マイクロファイナンス機関およびその利用者への調査は23年度中にかなり進めたので、部分的には当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は平成23年9月から1年間のサバティカルの予定であったが、サバティカルが2年間に延長されたため、アメリカ滞在予定期間が平成25年7月までとなった。これに伴い、本研究計画は平成25年度(3年目)前半まで引き続きアメリカにおけるマイクロファイナンスの調査研究を行い、平成25年度後半から平成26年度にかけて、韓国と日本におけるマイクロファイナンスの調査を行うこととしたい。 平成24年度は統計資料の分析に加え、マイクロファイナンスのリスク管理、マイクロファイナンス機関を取り巻く諸組織(政府、銀行等)の調査を進める。また、国際比較のため、イギリスにおけるマイクロファイナンス機関にも短期間の現地調査を行う。さらに、これまでの研究成果を論文や学会大会、ウェブサイト等で発表する。
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