2011 Fiscal Year Annual Research Report
社会的推論と学習の包括的検討:両者の相互作用を中心とする基礎的・応用的研究
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23683019
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 敦命 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (80547498)
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Keywords | 実験心理学 / 情動 / 顔 |
Research Abstract |
平成23年度は一連の研究を遂行する上で必要となる顔刺激を標準化する予備調査,および誤った伝聞学習の意図的抑制を調べる研究IIを実施した。 予備調査は,150枚の顔画像を刺激として,その表情(快-不快,覚醒度)および印象(信頼性,支配性)を評定してもらうものであり,のべ約400名が参加した。予備調査のデータを用いて,表情評定と印象評定の関係について分析した結果,覚醒度は信頼性と支配性の両方と正の相関をもつのに対し,快-不快は信頼性と正に,支配性と負に相関することが明らかになった。この結果は,顔にもとづく表情認知と印象認知の密接な関係を提案したovergeneralization仮説(Zebrowitz & Motepare, 2008)を拡張するものであり,European Conference on Visual Perceptionの2012年大会などで報告する予定である。 研究IIでは,顔写真とその人物の特性(信頼できるか,できないか)のペアを記憶してもらった後,その記憶を抑制して顔写真の人物の信頼性を再評定してもらうという実験を条件設定を変えて3つ実施した。これはある人物に対する悪い評判が虚偽だとわかった場合に人間は印象を適切に修正できるかという現実的な問題の検討を目指したものである。すべての実験で一貫して,信頼できないと記憶した人物に対する悪い印象は抑制が難しいという結果が得られた。この結果は,人間の裏切り者に対する敏感性(Suzuki & Suga, 2010)に関して新たな視点を加えるものであり,Psychonomic Societyの2011年大会において一部報告をおこなった。すべての成果をまとめた論文を現在執筆中であり,Psychonomic Societyの2012年大会でも報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間で予備調査,研究I,研究II,研究IIIを遂行する研究計画を申請しているが,平成23年度はそのうち2つ(予備調査,研究II)をほぼ終えることができたので,研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に引き続き,研究を効率的に進めるため,大学院生にリサーチ・アシスタントや実験実施者として協力してもらう。とくに平成24年度は,若年者を対象とした行動実験,脳機能計測実験,高齢者を対象とした行動実験など,複数の実験を並行して実施する予定なので,それぞれの実験を異なる実験実施者に担当してもらう。その際,平成23年度に実験実施者を担当し,本研究課題の内容にすでに精通している大学院生にとりまとめをしてもらい,緊密な情報共有をはかる。
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