2012 Fiscal Year Annual Research Report
アジア・アフリカにおける高等教育の「地域化」に関する国際比較研究
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23683023
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
北村 友人 上智大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (30362221)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高等教育 / アジア / アフリカ / 地域化 / 国際化 / 大学 |
Research Abstract |
本研究は、アジア・アフリカにおける高等教育の「地域化」がどのように進展しているのか、そして地域間でいかなる相違がみられるのかについて、各国の事例も踏まえて実証的に明らかにすることを目指している国際比較研究である。 こうした目的を実現するために、研究の2年目にあたる平成24年度は、とくにアジア地域における高等教育の「地域化」ならびに「国際化」の現状について、幅広く概観した。その結果、東アジア(東北・東南アジア)でも、南アジアにおいても、各国の高等教育機関が積極的に域内連携を進めている状況が明らかとなり、なかでも東南アジアにおいては地域的なネットワークが単位互換や共同教育プログラムの開発などにおいて、アジアのなかでも顕著な実績をあげている様子が明確になった。 平成24年度の実績としては、こうした高等教育の「地域化」の諸相を国別事例の集積から描き出すために、研究代表者が編者(上智大学・杉村美紀教授との共編)を務めた書籍として刊行し、広く発信したことを挙げることができる。 また、地域レベルでの研究に加えて、国別事例の詳細な検証も行った。とくに、東南アジア地域のなかで、いまだ高等教育の拡大が端緒についたばかりのカンボジアを事例として取り上げ、現地調査を実施した。現地調査では、カンボジアの高等教育の全般的な拡大傾向を明らかにするとともに、大学教員に関する調査や、大学における職業教育(とくに教員養成)といった特定分野に関する調査を行った。加えて、さらなる事例研究として、タイの高等教育の国際化についても論考をまとめた。これらの調査結果は、日本比較教育学会の年次大会や国際会議(広島大学高等教育研究開発センター主催)などで報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、現在までのところ、おおむね順調に進展していると自己評価できる。その理由としては、とくにアジアにおける高等教育の「地域化」の状況に関する調査を順調に行い、その成果を編著書、学術論文、専門誌への寄稿などを通して、公表してきているためである。とくに、編著書は研究者や大学関係者から好意的な評価を得ていることが、書評などを通して確認できている。 ただし、研究プロジェクトをさらに推進するうえで、課題も残されている。とくに、本研究の目的であるアジアとアフリカの国際比較という観点から、アフリカにおける高等教育の「地域化」に関する研究が十分に進んでいないことを指摘できる。この点は、今後の研究のなかで改善が必要であると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、アジアにおいては地域レベルでの状況に関する調査が順調に進んでいるため、今後は国別事例の検証をさらに積極的に行っていくことで、「地域化」や「国際化」の影響が国レベルや機関レベルでどのように顕在化しているのかを明らかにしていきたい。 また、アフリカにおける調査が十分に進んでいないため、今後はアフリカでの調査にも積極的に取り組んでいきたい。ただし、アフリカでは必ずしも十分な資料・データが入手できない面もあるため、国際機関(ユネスコ、国連大学、英連邦事務局、等)や地域機関(アフリカ大学協会、アフリカ連合)における調査も実施していくことが欠かせない。 これらの調査を進めるなかで、アジアとアフリカの国際比較も行っていく予定である。
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Research Products
(6 results)