2012 Fiscal Year Annual Research Report
非線形偏微分方程式における時空間評価と初期値境界値問題の研究
Project/Area Number |
23684004
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 誠 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70312634)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 偏微分方程式 / 非線形 / 初期値問題 / 境界値問題 / 波動方程式 |
Research Abstract |
(1) 零条件を満たす非線形項を持つ波動方程式の外部問題を考察し、コンパクトな障害物の捕捉的境界面において局所的な消散効果が起こる場合に、小振幅な時間大域解が存在することを示し、論文にて発表した。 (2) ハートリー型の非線形項を持つディラック方程式に対して、前許容対を使用したストリッカーツ評価を用いて散乱理論を示し、論文にて発表した。 (3) Lindblad, Rodnianski による重み付きエネルギー評価と、Keel, Smith, Sogge によるエネルギー評価は Hoermander 型の各点評価式と組み合わせることで、零条件を満たす非線形波動方程式の初期値問題に対して、既存の証明法よりも簡易な証明を与えることを示し、論文および学会にて発表した。関連する外部問題についても考察されている。また、Lindblad, Rodnianski の重み付きエネルギー評価を次元とパラメーターについて拡張を試み、その応用について考察した。 (4) 逆2乗型の重みの付いた非線形項を持つ消散型波動方程式の初期値問題に対して、冪乗型非線形項と指数関数型非線形項に対するエネルギー解の存在理論を考察した。小振幅の時間大域解、および、方程式においてエネルギー保存が成り立つ場合の大振幅の時間大域解について得られた結果の一部を学会にて発表した。 (5) ド・ジッター空間におけるクライン・ゴルドン方程式の初期値問題に対して、エネルギー空間における可解性を考察した。線形評価におけるエネルギー法の観点から、放物型方程式としての性質が明らかになってきたので、次年度も研究を継続する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一昨年の震災による影響から回復し、当初の計画におおむね沿った研究となっている。研究上で得られた結果、および、途中経過の発表を通して、今後の研究が進展するヒントも得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
論文として投稿段階あるいは印刷段階にあるような最新の研究動向を調べることを目的の一つとして、各地で開催される研究集会に参加し、講演者および参加者との研究討論を行う予定である。また、共同研究者を訪問または招聘し、研究討論を行う予定である。研究内容を掘り下げるために、第一戦の研究者との交流を継続する。
|
Research Products
(5 results)