2011 Fiscal Year Annual Research Report
二重ベータ崩壊測定のためのカルシウム48同位体濃縮
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23684015
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梅原 さおり 大阪大学, 核物理研究センター, 助教 (10379282)
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Keywords | 二重ベータ崩壊 / 同位体濃縮 / カルシウム |
Research Abstract |
二重ベータ崩壊核であり測定に大きな利点を持つカルシウム48を、クラウンエーテル樹脂を用いた泳動実験により濃縮し、大量生産に向けその濃縮効率を評価することを目的とする。カルシウム48は、二重ベータ崩壊の測定を行う際に多くの利点を持つ一方、自然同位体比が低いという不利点を持っているが、本研究の濃縮によってそれを克服できる。 カルシウム48濃縮をするために、本研究では下記の調査を行った。 1、濃縮泳動実験パラメータの最適化 2、樹脂の製造 3、中型カラムを用いた濃縮装置 まず、濃縮泳動実験パラメータの最適化、では、「カラム温度によるカルシウム吸着量の調査」、「溶媒の違いによる濃縮率の調査」を行った。本泳動実験では、溶媒として主に塩酸を使用している。溶媒として塩酸を使用する場合、カラム温度が低いほどカルシウム吸着量が増すことがはっきりとした。また、塩酸以外の無機溶媒での泳動濃縮テストを行った結果、塩酸と同程度の濃縮効果と、高い吸着量を持つことが分かった。 また、実際に大量濃縮をするためには、大量の樹脂製造を必要とする。そのために、樹脂合成を開始した。なお、大量の樹脂合成を行った際には、樹脂性能のばらつきを評価する必要がある。樹脂性能の評価のためのシステムを現在構築し、次年度に評価を進める予定である。 さらに、これまでの実験室レベルの小型濃縮から、大量濃縮を行うためのシステム設計のために、中型濃縮システムの構築を進めた。次年度にこのシステムを用いたパラメータ評価をすすめ大型システムの設計を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定とは変更し、「樹脂の製造」を初年度に開始しており、研究推進の順序が多少前後しているが、総合的には、研究は順調に進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
合成した樹脂の性能評価をすすめる。性能が安定していることが確認されたら、引き続いて樹脂合成を続ける。また、大量生産に向けて、樹脂合成の効率化、高速化について最適化する。 また、泳動システムを大型化していく際には、溶媒の乱流などによる性能低下がおこらないようにする必要がある。性能低下が起こらないように、配管やカラム形状など、物理的な泳動パラメータの最適化を行う。
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Research Products
(6 results)