2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23684019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 倫久 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00376493)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 半導体物性 / メゾスコピック系 / 量子細線 / 量子ドット / 量子情報 |
Research Abstract |
(1)遠く離れた量子ドット間のコヒーレントな単一電子輸送:前年度に、表面弾性波を用いて遠く離れた量子ドット間で単一電子を高効率で移送する技術を開発したことに伴い、移送中の電子スピンのコヒーレンスを確認する実験へと移った。 (2)飛行量子ビットの多量子ビット化とベルの不等式の破れの検証:単一電子レベルでの飛行電荷量子ビット制御を目指す実験を継続して行った。表面弾性波によって動く量子ドット中の単一電子を飛行電荷量子ビットとして用い、干渉計を利用してそのコヒーレントな量子ビット操作に成功した。また、干渉の可視度が高温(数K)まで残ることから、非常に長いコヒーレンス長を確認した。これとは別に、空乏化した導波路に電子ポンプによって単一電子を注入し、その干渉を観測することにも成功した。 (3)飛行量子ビットと量子ドット中の電子との結合:前年度に、近藤状態にある量子ドットを伝播する電子の位相測定を行ったことを踏まえ、ここでは比較的多電子の量子ドットを伝播する電子の伝播位相の測定を行った。イスラエルのグループによる先行実験ではクーロン振動の間で位相が必ずπ飛ぶという結果が報告されていたが、より信頼性のある実験を行ったところ、波動関数の軌道状態を反映して位相がπ飛ぶ場合と飛ばない場合があることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遠く離れた量子ドット間のコヒーレントな単一電子輸送に関しては、予定より早くほぼ結果が出ている。 飛行量子ビットの多量子ビット化については、デザインの改良によって干渉の可視度を上げるという予定外の課題が生じた反面、この課題の解決が比較的容易であると考えられることに加えて当初予想していたよりも長いコヒーレンス時間が得られており、状況は楽観視できる。 電子スピンの非局所量子もつれ状態の生成と検出に関しては、スピンのコヒーレンスがほぼ確認できているので、出口が見えている。 これらに加えて、飛行量子ビット系を用いた位相測定などでも成果が上がっている。
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Strategy for Future Research Activity |
飛行量子ビット系を用いた位相測定については結果が揃ったので完了とし、当初の計画で目標とした課題に再び集中する。目標に向かって着実に近づいているので、基本的にはそのまま継続する。
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