2011 Fiscal Year Annual Research Report
リチウムイオンポリマー電池素子を用いた遷移金属酸化物の物性制御
Project/Area Number |
23684022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 航 筑波大学, 数理物質系, 助教 (70434313)
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Keywords | 強相関電子 / 超伝導 / リチウムイオン二次電池 |
Research Abstract |
本研究の目的は,リチウムイオンポリマー電池素子構造を用いて電気化学的にリチウムイオンを強相関電子材料に挿入-税離し,電圧でドーピングレベルを制御することにあります。この構造を用いることで、(1)ケミカルドーピングでは到達できないドーピングレベルへの拡張、(2)バルクドーピングによる高温超伝導,強磁性等の物性制御が可能となるため、新しい原理による電圧駆動強相関デバイスの創製が期待されます。平成23年度は銅酸化物高温超伝導体Bi_2Sr_2CaCu_2O_8(Bi2212)を作製し、電気化学的にリチウムイオンを挿入し、超伝導相転移温度を制御することに成功しました。ITO、基板上に塗布したBi2212を正極とし、リチウム金属を負極として用い両極間に電流を通電することで異なるリチウムイオン濃度を持つ試料を作製しました。放射光X線回折、X線吸収微細構造実験により、これらの試料の格子定数と銅イオンの価数が系統的に変化することがわかりました。このことはBi2212の層間へのリチウムイオンのインターカレーションを示しています。またリチウムイオン挿入量の増加と共に超伝導相転移温度が76Kから90Kまで上昇し、その後高ドープ域で超伝導が消失することを見出しました。これらの結果は、電圧によってバルクドーピングによる高温超伝導制御が可能であることを明確に示しており、電界効果トランジスターを用いた物性制御とは異なる新しい原理による電圧駆動強相関デバイスの創製の可能性を示しています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の研究計画をほぼ達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
Bi_2Sr_2CaCu_2O_8以外の層状構造を有する超伝導体を用いて、リチウムイオンの脱離挿入を行い超伝導特性の制御を行います。そのために放射光X線による構造解析、X線吸収微細構造測定を用いて遷移金属イオンの価数を同定を行います。また実際にポリマー電池素子に超伝導材料を組み込み、電圧による超伝導特性の制御を行います。
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