2011 Fiscal Year Annual Research Report
鉄オキシニクタイド超伝導体の単結晶育成と高圧下物性の研究
Project/Area Number |
23684024
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
石川 文洋 新潟大学, 自然科学系, 助教 (50377181)
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Keywords | 超伝導材料 / 低温物性 / 高圧下物性 / 鉄系超伝導 |
Research Abstract |
鉄ニクタイド系単結晶の超伝導に対する一軸圧効果は、低い圧力で高い超伝導転移温度を誘起している。このことから本研究では鉄オキシニクタイド超伝導体の単結晶を育成し圧力下物性測定を行うことで超伝導に対する圧力効果の機構を解明をめざす。また鉄系超伝導体の超伝導転移温度の最高値を更新することも期待できる。これまでは、管状金属るつぼを用いて鉄オキシニクタイド単結晶の育成条件の探査を行った。育成には昇降機構付きモリシリ高温電気炉を用い、るつぼを炉心管ごと移動させる昇降機構を利用してゾーンメルト法による単結晶化をはかった。典型物質としてLaFeAsOの単結晶育成を試みた。金属るつぼ中でのLaFeAsO相の育成は確認されたが、電気抵抗測定を行うことが可能な大型の試料を育成することはできなかった。単結晶育成とは別に、より高い超伝導転移温度を示す物質として、ペロフスカイト多層構造オキシニクタイドの多結晶試料の合成を試みた。他グループにより報告されているSr_4Cr_2Fe_2As_2O_6やSr_4(Cr,Ti)_2Fe_2As_2O_6などのいくつかの相については合成に成功したが、より高い転移温度を示すことが期待される新物質相の発見にはいたらなかった。また、当初予想していた焼成温度よりも低い温度での合成が必要であることが明らかになった。物性測定の面では、高圧力下ホール効果測定による、圧力によるキャリア導入の機構解明をめざし、超伝導マグネットを利用したホール効果測定装置の立ち上げを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画においては、いくつかの鉄系オキシニクタイド単結晶試料の育成に成功し、それらの物性測定をおこなうことを目指していたが物性測定に至らなかった。またペロフスカイト多層構造オキシニクタイド探査にあっても既知の物質のみで新物質については進展がなかった。ホール効果などの高圧下物性測定の準備は概ね予定通り行えた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度にあって、単結晶育成には至らなかったが、基礎的な面は確立することができたのでより効率的に押し進める。特に当初予定したよりも低い温度での単結晶育成が可能であることが示唆されため、準備の困難な金属るつぼを使わずに、石英封管での育成も行っていく。
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Research Products
(2 results)