2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23684026
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
若林 裕助 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (40334205)
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Keywords | 表面・界面物性 / 物性実験 / 固液界面 / 放射光 / 有機デバイス / イオン液体 |
Research Abstract |
今日の電子デバイスのほとんどはシリコンを基礎とした技術に依存している。しかし,これを炭素ベースに置き換える事で,ある種の用途には大きなメリットが生まれ得ることが認識されるようになってきた。有機半導体を基礎に電子デバイスを作製する事で安価,軽量,柔軟性を持った透明なデバイスを作製できる,あるいは印刷によってデバイスが作製できる特性を生かして,電子デバイスの多品種少量生産が可能となると期待されている。そのために近年,有機半導体デバイスの研究が盛んになっており,現在では半導体素材の性能としてはアモルファスシリコンを上回る易動度の有機半導体素材まで開発されている。 本研究では,有機半導体デバイスで利用される界面の物性を微視的に理解するために,0.01nmの分解能で界面構造を明らかにする。そのために放射光を用いた表面X線回折法を用い,さらにホログラフィの考え方を取り入れた解析を適用する。 初年度の研究では,有機トランジスタのゲート絶縁層に利用されるイオン液体電気二重層からのX線反射率測定に成功した。イオン液体と固体の界面を形成し,電圧を印加することで界面に電気二重層が形成されることはよく知られているが,その電気二重層の直接観測はこれまでほとんどなされてこなかった。そこで我々は金単結晶とイオン液体の界面に電気二重層を形成し,放射光を用いたX線反射率測定を行った。その結果,電圧の方向や大きさに依存して反射率の大きな変化を観測した。 同時に金-有機半導体界面や,SrTiO3-有機半導体界面の構造を観測するべく表面X線回折実験を進めているが,現時点まででこれらについて良い結果は得られていない。試料の室の問題であるのか,本質的な問題なのかを検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書の23年度分の計画と比較すると,一部達成,一部については期待した結果が得られていないという状況であるが,期待通りでないのは当初の期待が現実と違っているからではないかと考えている。当初期待していたのは,金と有機半導体は原子レベルで見て広い範囲で接触しており,キャリアのやり取りが広い面で生じているという状況であった。しかし,これまでに得られた結果が示唆する真の界面構造は,極狭い面でのみ両者は接触しており,ほとんどの領域で金と有機半導体は全く接触していないという状況である。今後確認を進める。23年度の11月からと,開始が遅かったことを考えると,一つでも期待通りの進行をしているのは概ね順調と言えると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
イオン液体-金界面の電気二重層構造の観測に成功したので,他の界面に対する測定を行うのがひとつの方向性である。固体-有機半導体界面の観測については,本質的にきちんと接触していない可能性が高いと考えているが,これについて確認をする。並行して,有機半導体と空気の界面の構造を観測する。自発的な表面構造緩和がどの程度生じているのかを明らかにすることで,表面や界面の物性の理解の基準点を設ける事が目標である。
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Research Products
(9 results)