2012 Fiscal Year Annual Research Report
汎用レーザー超高分解能光電子分光による相境界・共存相における特異な電子物性の解明
Project/Area Number |
23684027
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木須 孝幸 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (20391930)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 強相関電子系 / 物性実験 / 超伝導材料・素子 / 有機導体 / 角度分解光電子分光 / 分光法開発 / 特殊技術一般化 |
Research Abstract |
本年度は汎用レーザー光電子分光システムを完成させるため、レーザーと光電子分光装置の建設を行った。レーザーは強度、偏光を自在に変えられるシステムと真空への導入光路を構築した。これによって超高分解能を達成するためのレーザーが完成した。一方、光電子分光装置側は研究室既存の物品と別経費で建設を行っていたが、業者のミスにより、再納品や修理などを要したため、今年度前半を予定していた光電子分光器の完成が12月にずれこんでしまった。完成した装置にレーザーを導入し汎用レーザー光電子分光装置が完成したのは1月である。 性能評価によりパスエネルギー1 eV、スリット100 μm、温度2.8 Kの条件において370 μeVのエネルギー分解能を達成し、Nb、V3Siなどで超伝導ギャップ観測に成功した。汎用レーザーを用いて分解能1 meV以下の分解能を達成したのは本課題が初めてであり、更にレーザーの単色性を簡単に半分にできるようにしたため、パスエネルギー0.5 eVにおいて180 μeVを容易に達成可能である。これはKBBFを用いた東大物性研のレーザー光電子分光装置の内、資金的に同等なもの(360 μeV)より高性能であり世界最高性能(100 μeV)に迫る。反響は非常に大きく、各所で本研究課題と同じシステムを導入するみられ、本研究課題の目的の一つである我が国の分光における国際競争力向上は大いに達成できたといえる。 もうひとつの目的である相境界・共存相における特異な電子物性解明のため、分子性超伝導体k-(BEDT-TTF)Cu(NSC)2において本装置を用いた研究を行った。 最終年度中に研究を完結させることはできなかったが、従来の装置よりはるかに効率的な光電子収量が得られ、世界で初めてとなる超伝導ギャップ観測に成功している。研究は順調に推移しており、近日中にこれらの物性を明らかにできると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)