2011 Fiscal Year Annual Research Report
様々な外部環境下における有機化合物へのキャリア注入と新奇物性の探索
Project/Area Number |
23684028
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
堀場 律子 (江口 律子) 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教 (50415098)
|
Keywords | 超伝導 / 芳香族化合物 / 電界効果キャリアドーピング |
Research Abstract |
本研究では有機化合物を用いた電界効果キャリア注入を様々な外部環境下で行うことにより、これまで見いだされなかった新しい物性を発見しコントロールすることを目的としている。本年度では本研究を実現するための装置開発および組立てを行うのと並行して、電界効果キャリア注入の有効性を確かめるために、銅酸化物高温超伝導体の母物質を用いた実験を行った。 銅酸化物高温超伝導体の母物質を用いた電界効果測定では、スピンコートと酸素アニール法を用いた薄膜試料を用いた。薄膜作製条件をほぼ決定したのち薄膜を作製し、ソース/ドレイン金電極とイオン液体をゲート誘電体として用いたトランジスタ構造を作り電界効果測定を行った。微小なドレイン電流値のゲート電圧依存性が観測されたが物性制御までには至らず、膜質の改善も含め電界効果特性としては今後改善する余地がある。 高真空プローバー&チャンバーシステムの組み立てを行った。装置は試料導入槽・試料蒸着槽・プローバーの三部分から成り、それぞれ独立した真空槽となっている。試料ホルダーはトランスファーロッドを用いて真空中を輸送することが可能になっており、試料作製からプローバーを用いた電界効果測定までを大気下に出すことなく行うことができる。また、酸素、アルゴンなど様々なガス雰囲気下での特性を見るためにガス導入機能も備えている。液体ヘリウムをフローすることにより室温から15Kまでの低温領域までの測定ができ、超伝導特性の観測なども可能である。現時点で電界効果測定ができることを確認しており、装置の立ち上げが達成されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な外部環境下での測定を可能にする実験環境を整え測定を開始しているところであり、本年度の研究内容は研究目的を達成する上でおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画については、本年度立ち上げた装置を用いて様々な外部環境下における電界効果測定を行う。特に真空中での試料作製と電界効果測定を一連の作業で行うことにより、有機化合物への電子注入を実現し、金属化および超伝導体化を目指す。
|
Research Products
(1 results)