2011 Fiscal Year Annual Research Report
スピンギャップ磁性体におけるランダムネスが誘起するボース粒子の局在化
Project/Area Number |
23684029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
真中 浩貴 鹿児島大学, 大学院・理工学研究科(工学系), 助教 (80359984)
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Keywords | 試料作製 / X線構造解析 / 中性子散乱 / 電子スピン共鳴 / 強磁場磁化測定 / チューブ化合物 |
Research Abstract |
本研究で主に対象にした化合物IPA-CuCl_3とIPA-CuBr_3,さらにその混晶系IPA-Cu(Cl_xBr_<1-x>)3について,良質な単結晶試料が作製できる装置等を新規に導入し,現在,順調に稼働している。その結果,これまでは吸湿性がとても激しいため困難であった,混晶系のX線構造解析も可能となった。その結果,中間濃度領域では結晶構造の相転移が起こり,これまでの磁気モデルでは不適切であることが分かった。今後,新しい磁気モデルを確立し,これまでの実験結果を再検証する必要がある。中性子散乱実験については独国で予定通り実施した。3軸分光器を組み合わせたスピンエコー法を用いて,従来の方法では到達不可能な超高分解能(5μeV)測定が行えた。その結果,第一励起状態が磁気異方性によって縮退が解けていることを直接的に観測することに成功した。今後,この分野におけるさらなる研究の発展が期待できる。高周波電子スピン共鳴測定については大阪大学量子極限科学センターで順調に実験が進んでおり,パルス磁石を用いた50T程度までの高磁場,さらに^3Heを用いた1K以下での測定にも成功した。さらに強磁場磁化測定も順調に消化でき,総合的な解析を現在行っている最中である。これらの結果は比較対象として測定した,チューブ構造を有するフッ化物の実験結果と非常に酷似している。したがって今後,どのような共通点があるか詳細に検討する。 ミューオンスピン共鳴の実験については諸般の事情でマシンタイムを確保できない状況であるが,近いうちに実験が出来ると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最重要課題である試料作製環境の整備に関しては今年度でほぼ完成した。したがって今後多くの良質な試料を大量生産できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
混晶化合物の結晶構造が初期モデルとは異なっていたため,再検討が必要となっている。しかしながら本発見によって,これまで理解できなかった実験結果を矛盾無く説明できる可能性があるため,慎重に新モデルを導きたい。
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[Journal Article] Effects of Geometrical Spin Frustration on Triangular Spin Tubes Formed in CsCrF_4 and α-KCrF_42011
Author(s)
H.Manaka, T.Etoh, Y.Honda, N.Iwashita, K.Ogata, N.Terada, T.Hisamatsu, M.Ito, Y.Narumi, A.Kondo, K Kindo, Y.Miura
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Journal Title
Journal of the Physical Society of Japan
Volume: 80
Pages: 084714(1)-084714(11)
DOI
Peer Reviewed
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