2013 Fiscal Year Annual Research Report
超流動ヘリウム3自由表面で期待されるマヨラナ表面状態の観測
Project/Area Number |
23684030
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
池上 弘樹 独立行政法人理化学研究所, 河野低温物理研究室, 専任研究員 (70313161)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | 超流動ヘリウム3 / 表面束縛状態 / トポロジカル超流動 / マヨラナ励起 / イオン / カイラリティ |
Research Abstract |
超流動ヘリウム3-B相の表面には、マヨラナ粒子的な束縛状態が表面に形成されると予想されている。本研究の目的は、超流動ヘリウム3-B相の自由表面下に形成される表面束縛状態の観測およびそのマヨナラ粒子性の検証である。本年度は最終年度であるため、過去2年間に得られているデータの詳細な解析、およびそれらに物理的解釈を与える事に集中した。また、それらを論文として出版する事にも力を注いだ。 1、超流動ヘリウム3-Bの自由表面下にトラップされたイオンの移動度は深さ依存性を示さないという事が過去2年間の実験で明らかになっている。この事は、表面束縛状態がイオンによって散乱されないという事を示している。これを理解するために、表面束縛状態を通常のフェルミ粒子と仮定して、イオンによる散乱頻度を見積もった。その結果、表面束縛状態のイオンによる散乱断面積が小さくないと実験結果が説明されない事がわかった。これは、表面束縛状態のマヨラナ粒子性によると解釈される。この結果をまとめ、Journal of the Physical Society of Japanに論文として出版した。 2、超流動ヘリウム3-Bの自由表面下にトラップされたイオンの非線形伝導特性も深さ依存性を示さないという事が過去2年間の実験で明らかになっている。この実験結果はJournal of Low Temperature Physicsに論文として出版した。 3、超流動ヘリウム3-Aで、イオンに対しintrinsic Magnus力がはたらくという事を過去2年間の実験で初めて明らかにした。これは、超流動ヘリウム3-Aでのカイラリティを初めて直接観測した実験である。この実験結果をまとめ、scienceに論文として出版した。また、intrinsic Magnus力を利用してdomain wallなどトポロジカル欠陥の観測可能性について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(5 results)