2012 Fiscal Year Annual Research Report
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23684031
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Research Institution | Central Research Institute of Electric Power Industry |
Principal Investigator |
小野 新平 一般財団法人電力中央研究所, 材料科学研究所, 主任研究員 (30371298)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 半導体物性 / 物性実験 / 強相関電子系 / イオン液体 / 有機電界効果トランジスタ / 電気二重層 |
Research Abstract |
2012年度は3つの目標(①イオン液体電解質を用いた高密度キャリア注入技術の確立、②原子層堆積法により成膜した極薄絶縁膜を用いたキャリア注入技術の確立、③高密度キャリア注入による様々な電子相転移の研究。)を掲げていた。①に関しては、一般的な半導体であるシリコン、及びワイドギャップ半導体であるダイアモンドを用いて、イオン液体電解質を用いた電界効果トランジスタ構造を作製し、ホール係数より注入されたキャリア数を見積もり、高密度キャリア注入に必要なデバイス構造、イオン液体電解質の最適な条件を導きだした。またイオン液体電解質単体では、実験試料との化学反応が起きてしまう事があるため、ポリマー中にイオン液体電解質を溶かした全固体フィルムの作製を行い、化学反応を抑えることに成功した。②に関しては、原子堆積法を用いて、有機半導体の上に直接、極薄絶縁膜を作製することに成功した。その結果、従来の有機デバイスに比べて、低電圧駆動が可能になると同時に、酸化物の絶縁膜による有機半導体の封止により、寿命が飛躍的に上昇した。③に関しては、酸化物絶縁体であるVO2に、イオン液体電解質をゲート絶縁層として利用したトランジスタ構造を用いて電子を注入することで、室温で金属―絶縁体転移の制御に成功した。また金属磁石であるコバルト、鉄、ニッケルに関して、強磁性―常磁性の転移温度を電気的スイッチが出来る様になった。更に新展開として、イオン液体電解質とポリマーを混ぜ、電圧を印加するだけで自己組織PN接合の形成が可能となる、有機ELに匹敵する輝度の発光デバイスの作製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
イオン液体電解質を用いたキャリア注入に関して、共同研究により、数多くの試料を手にいれることができ、それぞれの試料を用いて実験をおこなうことで効率的に成果をあげることができている。またイオン液体電解質を使った自己組織PN接合の研究など新たな進展を見せており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、研究計画を変更なしで進めていく。イオン液体電解質及び原子層堆積法による絶縁膜を利用したハイブリッドデバイスの作製を行い、詳細に電子状態を変化させた際の物性測定を行っていきたい。また低温物性測定装置が立ち上がったので、低温における詳細な電気物性の測定を行っていく。また新展開の発光デバイスに関しても、そのメカニズム解明の研究などを行っていく。
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