2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23684032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鳥井 寿夫 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (40306535)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | レーザー冷却 / 蒸発冷却 / 協同冷却 / リチウム / ストロンチウム / ホローカソード |
Research Abstract |
リチウム原子のレーザー冷却にもちいる671nm半導体レーザーの周波数安定化のため、リチウムのヒートパイプ中における偏光分光を試みた。今回用いたリチウム6は励起状態の超微細構造分裂幅が自然幅程度であり、円偏光のポンプ光 によるスピン偏極が起きにくい。そのような状況においても、ポンプ光の飽和効果により円偏光複屈折が気体に誘起され、偏光分光が可能なことが実験的に検証された(Opt. Lett.37,2865(2012))。ルビジウム原子を用いたリチウム原子の蒸発冷却実現に向けて、1100Gの均一磁場も生成できる磁気トラップコイルの開発を行った。また、6.8GHzマイクロ波によるルビジウム原子の蒸発冷却およびボース凝縮を実現した。 ストロンチウムのレーザー冷却のための光源開発を今年度から開始した。蒸気圧の低いストロンチウム原子の分光のため、ホローカソードランプを導入し、その諸特性を近年発売された461nm半導体レーザーを用いて調べた。バッファガス(ネオン6Torr)の存在のため、ドップラーフリー分光で得られる均一幅(衝突幅+自然幅)は100MHz程度であり、また原子の分布がホローカソード表面近傍に偏っていることが確認された。(arXiv:1303.1325)。ホーローカソードランプを用いてストロンチウムのレーザー冷却のリポンプ遷移として利用できる3P2-3D2および3P2-3D3遷移の分光に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
量子原子光学をフェルミオンで開拓するために、今年度はリチウム6原子のレーザー冷却および量子凝縮に着手した。しかしながら、ルビジウムと質量が大きく異なるリチウム原子の磁気トラップは、既存の磁気トラップコイルでは困難であることがわかり、新しく磁気トラップコイルを設計、作成する作業に時間がかかってしまった。また、ルビジウム原子のマイクロ波を用いた蒸発冷却は、現在の金属チャンバーの幾何学的制限によって困難を極めた。具体には、マイクロ波アンテナと原子集団の距離を20cm以上近づけられなかったため、12Wという大きなパワーをアンテナに注入しなければ有意義なマイクロ波蒸発冷却を実現することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
金属チャンバーを基盤とした真空装置からガラスセルを基盤とした真空装置に以降し、実験装置の簡略化および柔軟性の向上を図る。具体的には、ルビジウム、リチウム、ストロンチウムの混合オーブンを開発し、一本のゼーマン減速器で減速し、ガラスセル内で同時磁気光学トラップを実現する。
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Research Products
(4 results)