2012 Fiscal Year Annual Research Report
電子・陽子質量比の微小時間変化の検出に向けた冷却分子の精密分光
Project/Area Number |
23684034
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 淳 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50579753)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 冷却分子 / 冷却原子 / 精密分光 / レーザー冷却 |
Research Abstract |
本研究では、冷却されたKRb分子を用いて電子・陽子質量比の時間変化に敏感な遷移を高精度に分光観測することで、電子・陽子質量比の恒常性検証を行うことが目的であった。この目的に向け、本研究期間内に大きく2つの成果を上げた。 1つは、KRb分子の振動準位の中で、最も電子・陽子質量比の恒常性検証に適した遷移を特定し、さらにその遷移周波数を高精度に分光することに成功したことである。この測定は、これまでに実験室実験で行われた最も精度の高い電子・陽子質量比の恒常性検証実験の誤差よりも、さらに小さな統計誤差での測定となっており、今後この測定を続けることによって、これまでに行われている以上の精度で、電子・陽子恒常性検証を行われると期待できる。具体的にはKRb分子の(X1Σ+,v=86,J=0,F=0,mF=0)から(a3Σ+,v=16,J=0,F=1,mF=0)への遷移を観測した。この遷移の周波数はおよそ635MHzであるが、この周波数を2.3x10^(-10)の精度での測定に成功した。この測定は、電子・陽子質量比に対しては1.6x10^(-14)の精度の測定に対応している。さらに、実験の詳細を詰めた後、投稿論文として発表する予定である。 もうひとつは、KRb分子のX1Σ+,v=0からb3Π0,v=0への遷移の観測に初めて成功し、この遷移を使った分子のレーザー冷却が行えることを実験によって示した。また、この遷移の分光結果から、この遷移を使った分子のレーザー冷却によって分子の温度は現在の135uKから1uKにまで冷却可能となることが分かった。より低温な分子を用いることで、分子の観測時間を格段に長くすることができ、さらなる高精度な分光実験につながると期待できる。現在、この成果についての論文を作成中である。 また、上記の2つの成果について国内外の学会等で報告している。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
|