2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23684044
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
駒林 鉄也 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (20444119)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高圧実験 / 熱力学 / 中心核 / 相平衡 / 鉄合金 |
Research Abstract |
本年度は予定通り、内部抵抗加熱式DACを放射光X線と組み合わせて、鉄合金、および純鉄について高温高圧その場観察実験を行った。SPring-8(兵庫)とESRF(フランス、グルノーブル)にて放射光実験を行った。 ESRFにおいては、固体純鉄の高温高圧非弾性X線散乱実験を行った。得られたデータから、純鉄の密度―音速関係を明らかにした。国際誌Earth and Planetary Science Lettersに我々が昨年度投稿し今年度出版された論文は、六方最密(HCP)構造の純鉄についての測定であった。今年度は体心立方(BCC)および面心立方(FCC)構造の純鉄についての測定を、16万気圧1100ケルビンまで行った。その結果、BCC鉄とFCC鉄は異なる密度―音速関係を示すことが分かった。このデータは、固体鉄の熱力学パラメタを制約するうえで重要であるほか、たとえば月の核の構造を議論するうえでも重要である。 平行して、鉄-ニッケル系の熱力学データ導出のためのデータベースの整理を行った。既存のデータベースを最新の純鉄のデータに整合するようにパラメタを調整した。新しく整備されたデータベースは現在投稿準備中である。 また、鉄―ケイ素系の放射光X線回折実験もわずかながら行った。純鉄、鉄―ニッケル系と比較して固体の構造相関係が複雑であることが既報の論文で明らかになっており、高精度の実験が可能な内部抵抗加熱式DACを用いて、あたらしく状態図を描き直すことを目的としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内部抵抗加熱式DACによる実験データは順調に蓄積されつつある。また、当初の予定では次年度に行うはずであった熱力学データの整備もすでに開始された。以上の理由からおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、次年度は実験をおこないつつ、熱力学データベースの構築に取り組む。実験は、高圧下での鉄合金の融点測定に取り組む。熱力学は、まずは鉄―ニッケル系の端成分の熱力学的性質を制約することから行う予定である。 最終年度は、液体の溶液特性までを制約してデータベースの完成を図り、得られた結果を総合して地球中心核の構造について議論する。順次、国際会議、国際誌への発表をおこなう。
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