2012 Fiscal Year Annual Research Report
始原隕石中難揮発性包有物CAIの浮遊年代:太陽系星雲物質輸送・循環機構の解明
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23684046
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡崎 隆司 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40372750)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 太陽系星雲 / コンドライト / CAI / 星雲浮遊年代 / 希ガス / 共鳴イオン化 / Kr-Kr年代 / I-Xe年代 |
Research Abstract |
昨年度設計・開発したTOF-RIMS(レーザー共鳴イオン化-飛行時間型質量分析計)を実際に作成・設置した。イオン源部分は昨年度行ったイオン光学シミュレーションに基づく設計であるが、これを実際の構造に反映するためにいくつかの改良を行った。このイオン源は、構造的にシンプルではあるが、イオンレンズ・デフレクターも備えており、イオン源から発生したKr、Xeイオンを検出器まで高い透過率で到達させることが可能である。今年度はイオン源用の高圧電源ユニットの設計・作成を行った。 本研究で作成しているTOF-RIMSはイオン源加速基盤を冷却し、その表面にKrやXeを濃集させ、Nd:YAGパルスレーザーで局所的に加熱し、遊離したガスを紫外レーザーでイオン化する、という方式である。そのため、加熱用Nd:YAGパルスレーザーとイオン化用紫外レーザーのタイミングを調整する必要がある。今年度は高速パルスジェネレータを用いたタイミング調整システムの構築を行い、2つのレーザー出力をコントロールできるようになった。また、高速オシロスコープもパルスジェネレータを用いてコントロールすることも可能となった。今後は標準ガスを分析装置に導入して、イオン光学の調整を速やかに行っていく。 また、質量分析部に導入するガスを生成する部分(ガス抽出精製ライン)の設計・製作を行った。本研究の目的は、極微量のKrとXeの分析に基づくが、「はやぶさ」や「はやぶさ2」試料などの貴重な試料の分析の際はKr、Xe以外の希ガス、He、Ne、Arの分析も行えることが望ましい(ガス抽出の際に試料は完全に消費されるため)。従って、本研究で開発したTOF-RIMSでKr,Xe分析、He-Arを既存の希ガス質量分析装置で分析できるような設計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ガス抽出精製ラインの一部で真空トラブルが発生したため、質量分析装置の立ち上げ・調整作業が行えなかった。代わりに、今年度は電気回路などの真空装置以外の部分に関する開発作業をすすめており、来年度にすみやかに装置の立ち上げと実際の試料の分析に移行できるように準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の真空トラブルについてはすでに対処済みであり、5月上旬にはガス抽出精製ラインが再稼働する予定である。それ以外の装置開発に必要なシステムはほぼ手配済み、あるいは開発・製作済みであるため、今後は本年度の遅れを取り返せると思われる。 また、実際に分析する隕石試料については厚さ100ミクロンの切片を複数作成しており、今後は顕微鏡観察や化学分析など、必要な分析を進めていく予定である。
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Research Products
(12 results)