2012 Fiscal Year Annual Research Report
分光学的手法及び計算科学による大気圧非平衡プラズマ-液相相互作用の研究
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23684049
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 剛仁 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70452472)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 大気圧プラズマ / プラズマ-液相相互作用 |
Research Abstract |
近年、バイオ応用、材料プロセス応用、環境応用など、大気圧非平衡プラズマー液相(主に水)相互作用を用いた応用研究が急速な広がりを見せており、更なる飛躍、継続的発展のためにも学術基盤の構築が必要である。本研究では、大気圧プラズマ領域、液相(水)領域、界面領域の3要素に対し、ラジカルの生成、輸送、反応過程に着目し、素過程の理解をもたらすことで、経験的な応用技術改善・開発からの脱却を促し、戦略的応用技術改善・革新へと導く事を目的としている。 当該年度には、プラズマ-液相相互作用の理解をもたらすため、プラズマが液相に影響を与える要素の中から電界に注目し、電界が水の表面構造に与える影響について、可視レーザー(532 nm)及び赤外OPOレーザー(2600-3300 nm)を用いた和周波分光システムを用いて調査した。入射光が分子振動と共鳴するときに比較的強い和周波が生成される。界面における非等方性から界面における情報が選択的に得られ、そのスペクトルから界面構造が推測できる。 pHおよび外部電界依存性から、外部電界によって水再表面構造の規則性が制御できるといった結果が得られた。また、誘電体との界面で自発的に生成する水の規則的構造は、外部電界の影響によって増強、緩和、反転させることが可能であり、反転に必要な外部電界のpH依存性は、誘電体表面における分極のpH依存性および規則構造を考慮することで説明できる可能性を示した。 更に、水接触の大気圧非平衡プラズマに対する空間依存発光分光測定を行い、発光種の同定を行うとともに、水との相互作用による水分子由来のラジカル生成を確認した。また、水中でのラジカル計測や反応速度測定のためのラマン測定や吸収分光測定にも取り組んでおり、反応速度のpH依存性を明らかにするとともに、ラマン分光測定におけるシステム構築を完了させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度までに、発光分光によるプラズマ中のラジカル計測に取り組み、水との相互作用によるラジカル生成を確認した。また、和周波による水最表面の構造解析においては、電界の寄与による規則性の制御といった興味深い結果が得られており、プラズマ-液相相互作用を用いた反応系に十分な知見を与える成果が得られている。更には、吸収分光測定や水中ラマン分光にも取り組んでおり、当初の計画に対して、順調な進展が見られていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、和周波分光において、水表面構造への電界の影響を中心に調査した。平成25年度には、電界影響による知見を更に深めるとともに、ラジカルによる影響、プラズマとの直接接触による上記2要素の相乗効果などを明らかにしていく。ラマン分光や吸収分光などによる水中での分光測定、発光分光を主体とした気相プラズマ中での測定を進め、更には計算手法による反応解析を進めることで、目的とする大気圧非平衡プラズマー液相相互作用に関する理解を進める。
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Research Products
(2 results)