2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23685001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 宗良 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (20373350)
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Keywords | 強レーザー場 / 光イオン化 / 状態分布 |
Research Abstract |
今年度は,高強度レーザー場による光イオン化メカニズムの解明のための装置立ち上げを行った。フェムト秒レーザー光(800nm,50fs,6mJ/pulse)を用い,N_2およびC_2H_2をイオン化させ,質量分析器(MS)によって生成した親イオンおよびフラグメントイオンの測定を行った。研究実施計画に記載したように,本研究においては遅延時間の制御された2つのフェムト秒パルスの生成が不可欠であるため,電動ステージを購入し,パルスの遅延時間を制御できる計測系を作成し,N_2およびC_2H_2の分子配列信号を観測する事で,作成した装置の評価を行った。遅延時間を60fs程度の精度で掃引し,分子配列に由来するスパイク状の信号を観測した。シミュレーションとの比較もよく一致し,遅延時間の制御されたパルス対を生成できることを確認した。これにより,本研究で使用するイオン化光とプローブ光を生成する準備を完了した。 上記のフェムト秒のシステムに加え、状態検出するためのナノ秒色素レーザーを新たに購入し,この立ち上げも同時に行った。440nmおよび600nmの波長において, 35mJ/pulse, 40mJ/pulseのエネルギーがそれぞれ得られた。状態検出するために必要な波長域は紫外領域であるため,色素レーザーの出力の2倍波(SH)を取る必要がある。BBO結晶およびコンピュータ制御の回転ステージを用いて,状態検出に必要な紫外光を発生させた。 以上のフェムト秒パルス対の遅延時間システムおよびナノ秒色素レーザーのSH発生は一台のコンピュータで制御できるようにし,同時にMSからの信号もレーザー光と同期して1ショット毎に計測できるシステムを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フェムト秒レーザー光によって生成したイオンを既に観測しており,また状態検出をする色素レーザーの立ち上げもほぼ完了した。本研究の重要なステップは,これらの要素を組み合わせてイオンの状態分布を観測する事である。主要な要素は今年度に立ち上がったため,研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度立ち上げたフェムト秒レーザーおよび色素レーザーを組み合わせ,フェムト秒レーザーで生成したイオンの状態分布の計測を行う。研究計画に関しての変更は無い。
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