2012 Fiscal Year Annual Research Report
インフルエンザウィルスのプロトンチャネルの高次構造の一分子観測
Project/Area Number |
23685002
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤芳 暁 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (70371705)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | タンパク質 / インフルエンザ / 単一分子分光 / 低温 / 分子分光 |
Research Abstract |
研究目的はインフルエンザウィルスのチャネルタンパク質の開閉機構の解明のために、光によって、タンパク質の高次構造を1分子ごとに決定する新たな手法を開発することにある。NMRやX線によって得られた平均構造から、チャネルの開閉に伴い、その高次構造(特に四次構造)が大きく変化すると予想されている。しかし、このモデルだけでは、実際の系での機能を理解し、制御するのは難しい。それは、生体膜中では、開いた状態と閉じた状態にあるチャネルや、異なる種類のタンパク質が混在し、それぞれが組織立って機能を呈しているからである。このため、1種類のタンパク質を取りだして平均構造を観測するだけでは情報として不十分である。そこで、本課題では、混在系の中から目的のタンパク質を選択し、その高次構造を1分子観測できる方法論を確立する。 この研究課題を遂行するために、本年度は(1)課題Bの仕上げとして、3次元レーザー走査型の1分子分光装置の評価と(2)課題Aとして、プロトンチャネルのモデル分子の製作および評価をおこなった。まず、(1)の装置の評価として、波長405, 532, 635 nmで温度1.5 Kにある量子ドットの発光イメージングをおこなった。得られた試料位置における3次元のスポット像(3次元点像分布関数)のサイズは、光学シミュレーションから得られた理想値の1.1倍以内であり、非常に高い就航性能を持つことを確かめた。次に(2)のモデル分子の製作では、プロリンを20個つなげて出来るポリプロリン分子の両端に2色の色素を結合したペプチドを合成し、蛍光測定により欲しい分子が製作されていることを確認した。さらに、課題Cとして行ったきた装置の安定化の投稿論文がChemical Physics誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は、当初の予定通り、おおむね順調にすすんでいる。しかし、世界的な液体ヘリウムの供給不足により、低温実験が半年間に渡り停止しているため、試料タンパク質の合成やその評価に重点を置き、研究を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
上に述べた液体ヘリウムの供給不足は本年度も続く可能性が高いが、昨年度末の完全停止という状況よりは良化すると言われている。そこで、本年度は低温実験を研究課題の中心に置くとともに、ヘリウム供給状況に応じて、室温ないし、液体窒素温度での実験を推進することで、本研究課題を実現する。
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Research Products
(6 results)