2011 Fiscal Year Annual Research Report
生化学反応機構の系統的解明のための化学反応経路自動探索法の開発
Project/Area Number |
23685004
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
前田 理 京都大学, 次世代研究者育成センター, 助教 (60584836)
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Keywords | 生化学反応 / 酵素反応 / 量子化学計算 / 反応経路 / 自動探索 |
Research Abstract |
化学反応経路をコンピュータで系統的に自動探索できれば、信頼できる反応解析、効率的な反応設計、および、未知反応予測が可能となる。これは長年不可能であるとされてきたが、申請者らは、二種類の反応経路自動探索法(GRRM法およびAFIR法)を開発し、これを可能にした。本研究では、酵素反応等の生化学反応を扱えるように拡張し、生化学反応の解析および予測へと応用する。23年度は、上述の二つの方法を実装したGRRMプログラムを、ONIOM法およびMicroiteration法を併用し、酵素反応を扱えるように拡張した。実際には、Isopenicillin N synthase (IPNS)について、水分子を含む、全体で10,891原子からなるモデルで扱い、その中の65原子からなる反応中心に対してAFIR法を適用した。反応中心に含まれない10,826個の原子の動きも、Microiteration法によって考慮されている。その結果、実験のX線構造から出発して、反応の第一ステップを、自動的に明らかにすることができた。第二ステップ以降について、現在検討中である。一方、酵素反応では、反応中心に金属原子が存在することが多いため、金属触媒反応を扱えることが必須である。そこで、AFIR法を有機金属触媒サイクルに応用できるように拡張した、その結果、ヒドロホルミル化反応を例にして、触媒サイクル一周丸ごと自動解明することに、世界で初めて成功した。また、GRRMプログラムのインプットファイル作成において、数千、数万原子の座標入力を人間が行うことは困難なため、それを簡便に行うためのインターフェイスプログラムの開発も併せて行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度の目標である、酵素反応に応用できるように反応経路自動探索法を拡張すること、が達成され、実際の酵素反応でのテスト計算を開始することができた。また、金属触媒反応を扱えるようにAFIR法を拡張することもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度に開発したプログラムを実際の酵素反応でテストする。具体例として、Isopenicillin N synthase (IPNS)の反応を扱い、計算を実行中である。テストにおいて見出された問題点を改善していくとともに、反応機構が解明されていない酵素反応へと応用していく予定。
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