2012 Fiscal Year Annual Research Report
空間捕捉された水和生体分子イオンの温度制御:熱力学とレーザー分光の融合
Project/Area Number |
23685005
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
迫田 憲治 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80346767)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
|
Keywords | 水和構造ゆらぎ / クラスター |
Research Abstract |
気相中における水素結合クラスターの研究では,クラスターを極低温に冷却することによって,凝縮相における複雑な水素結合ネットワークを真空中に切り出すことが可能となった.真空中に生成した水素結合クラスターにレーザー多重共鳴分光法を適用することにより,個々の水素結合の性質が分子レベルで明らかにされてきた.しかし,これまでの研究の殆どは,水素結合の安定構造や結合様式のような静的な側面に焦点を当てたものであった.また,系を極低温に冷却していることから,自由エネルギーに対するエントロピーの効果が殆ど見えないという問題もあった.本課題では,「加熱」した分子クラスターを生成し,これにレーザー分光法を適用することによって,系の微視的な情報とマクロな熱力学量の情報を得ることを計画した. 本年度は,生体分子であるセロトニンやトリプタミン,これらと類似の分子構造をもつ5-ヒドロキシインドールの水和クラスターを生成し,これを加熱することによって,クラスター内における水分子のゆらぎ,及び側鎖の折れ畳み構造の再形成に関する知見を得ることが出来た.水和トリプタミンクラスターでは,系が極低温の状態にあると,側鎖の配向が固定されていたが,クラスターを加熱すると,水分子がトリプタミンの周囲を移動すると共に,側鎖の折れ畳み構造が変化する様子を赤外分光によって捉えた.また,セロトニンや5-ヒドロキシインドールの水和クラスターでは,系を加熱することによって,水分子が分子内の複数の水素結合サイトを移動する,水和構造ゆらぎの現象を示すことを見出した.理論解析の結果,これらのクラスターが示す水和構造ゆらぎが,エントロピー駆動をあることを明確にすることができた.
|
Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Research Products
(4 results)