2012 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖等の超高感度構造解析を目指した真空紫外域での顕微円二色性計測装置の開発
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23685007
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 真人 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (30386643)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 糖・糖鎖 / タンパク質 / 分子構造解析 / 真空紫外線 / 物性実験 / キラリティ / 化学物理 / バイオ関連機器 |
Research Abstract |
本研究は円二色性分光装置と顕微装置とを組み合わせた画期的な計測システムの開発と、それによる糖鎖や希少タンパク質(例えばアミロイドタンパク質、膜タンパク質)など重要な生体分子の真空紫外領域における円二色性の計測とそれによる分子構造解析を目的とするものである。本課題の遂行から、将来的には真空紫外円二色性計測による分子構造解析とそれを基にした薬剤開発などの分野での貢献を目指している。 本年度は昨年度に開発した真空紫外円二色性システムを改良し、微小量試料を計測するための縮小光学系を組み込んだ装置を開発するとともに、その性能を評価した。縮小光学系としてシュバルツシルト型反射対物レンズを組み込み、光学調整を行った結果、検出光のスポットサイズを通常の7mm角から40×80マイクロメートル角にまで縮小化することに成功した。またこれらの組み込み・調整が可能な真空チャンバーの設計・製作を行った。さらにこの縮小化光を用いて真空紫外円二色性スペクトルを計測したところ、スペクトルの歪み等は観察されなかった。これより縮小光学系を用いても正確な円二色性スペクトルが計測できることを明らかにした。現状の計測波長領域は約150~300ナノメートル程度であり、タンパク質などの生体分子試料の構造解析に十分な波長領域をカバーできている。また真空中に溶液試料を24時間以上保持できる溶液セルならびに真空に対応した温度調節機構(0~80℃、精度±0.1℃)の開発に成功し、アミロイドタンパク質などの常温で構造変化が起きる試料の安定した計測などを可能にした。 以上のように当初の研究実施計画に即した研究成果を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロメーターオーダーの微小光を用いた真空紫外域に対応した円二色性計測システムの開発とその評価といった本研究の根幹となる計測装置の構築に成功しており、順調に研究目的を達成しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は本装置の更なる高性能化や微量試料用セルの開発などの装置開発と並行して、糖鎖などの希少な生体分子試料の計測を進めていく。これらより本研究目的を達成させる。
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Research Products
(5 results)