2012 Fiscal Year Annual Research Report
多機能性銅触媒による主要生体構成元素間結合活性化法の開発
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23685008
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 達 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00333899)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 銅触媒 / 骨格転位 / 結合切断 / ヘテロ環 / 転位反応 / ロジウム触媒 / 水溶性配位子 / 不斉転写 |
Research Abstract |
銅のπ酸性に基づく反応設計;貴金属である金や白金が中心であったπ酸性遷移金属触媒を銅へと転換を目指し、π酸性触媒の多彩なσ結合切断経路(1直接開裂2ベータ脱離3電子逆供与に依る開裂4カルベン挿入)を生体構成元素間結合活性化に結びつける反応設計を行った。芳香族アルデヒド由来のオキシムが銅触媒によりC-O結合の開裂を経て、4員環ニトロンへ骨格転位することを以前報告した。特に[CuCl(cod)]2を触媒として用い70℃アセトニトリル中で実施することにより、良好な位置選択性で生成物が得られる。今回、キラル基質を用いた骨格転位反応において不斉情報が生成物へ効率的に転写されることを明らかにした。特に基質のオキシム部位の立体化学に関わらず同一のエナンチオマーに変換された。この結果は、2,3-転位によって生じるN-アレニルニトロン中間体が、ニトロン部位が熱力学的に安定なZ体へ異性化した後に、同旋的4π電子環状反応が進行することを強く示唆している。また、この2,3-転位とアザメタラサイクル形成の連続化によりヘテロ環を構築する新たな方法論を創成できると考えた。この構想のもと、シクロプロパンカルバルデヒド由来の基質のロジウム触媒反応を検討した結果、アゼピンオキシド誘導体が効率的に得られることを見出した。[RhCl(cod)]2および水溶性リン配位子 TPPMSの存在下、Z体基質を80℃で加熱撹拌した結果、アルキリデン基をもつアゼピンオキシド誘導体が良好な収率で得られた。アルキン末端の置換基はアリール基・アルキル基に適応可能である。一方、プロパルギル位の置換基効果は、アリール系置換基の場合その電子的性質に関わらず良好な収率で生成物を与えたのに対し、アルキルの場合反応性の低下が見られた。E体基質の反応は、DMF溶媒中、リン配位子の添加量を適切に調整することにより同一の生成物が良好な収率で得られる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記報告には述べていないが、既に多機能性銅触媒を活用する極めて新規性の高い反応を本年度見出しており、これらの完成により、本研究が当該分野に大きなインパクトをもたらす成果をもたらすものと確信している。特に、従来多用されている金・白金触媒との比較において単なる「触媒価格」ではなく、反応性の本質において異なることを明らかにしつつあり、計算化学を含めてこの銅触媒の性質を正確に活用する反応系を開発することにより、次年度に大きく進展すると考えている。また、本年度ロジウム触媒が鍵転位反応を促進することを見出すことができたため、本方法論が生理活性物質合成において極めて重要なヘテロ環骨格を網羅的に合成することが可能であることを実証した。これをより確かなものにするために、引き続き研究を展開する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度において、この研究の遂行により多置換ヘテロ環を代表とする有機合成への貢献できることを実証する。系中にdipolarophileを添加することにより連続的環化反応が進行するものと期待できる。このプロセスの合成的優位点は、窒素上置換基がエナミン構造を持つため容易に脱保護可能であることである。従来汎用されているニトロン化合物は窒素上にベンゼン環を持つものであり、その脱保護には過酷な反応条件を必要とした。N-allenyl nitroneを系中で触媒的に発生させる本方法論は合成上の有用性が高い。また予測生成物であるN-allenylamineは高反応性が期待できることから、さらなるタンデム反応の設計を検討する。本反応は2,3-転位によるニトロン中間体を経由すると考えられる。例えば、アレニルニトロン中間体をビニルアレンの窒素類縁体とみなし、ロジウム触媒によるメタラサイクル形成を鍵とする新規ヘテロ環構築反応へ展開する。特にオキシム部位に適当な環状置換基を持つ基質の開環反応により、7~9員環の多様な中員環骨格の効率的合成法を確立する。これらの骨格は重要な生理活性物質の基本構造であるが、従来法は高希釈条件が必要な上に合成効率も低いことから、本研究で検討する方法論は革新的な構築手法になると期待できる。さらにこれらの知見を元に、π酸性触媒の多彩なσ結合切断経路(①直接開裂②ベータ脱離③電子逆供与に依る開裂④カルベン挿入)を生体構成元素間結合活性化に結びつける反応設計を行う。貴金属である金や白金が中心であったπ酸性遷移金属触媒を銅へと転換する。
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Research Products
(10 results)