2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23685016
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉川 裕之 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00314378)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | レーザー / バイオセンサー / 酸化酵素 / 後方散乱光 / 酸化重合 / 表面増強ラマン散乱 / 光捕捉 |
Research Abstract |
試料溶液中にレーザーを集光して、後方散乱光から生体分子間相互作用を検出する光ピックアップ型バイオセンシング技術に関する以下の研究を進めた。1)集光レーザーによるアニリン系分子のナノ凝集体形成を利用して酸化酵素反応を検出する独自の手法を利用して、グルコース酸化酵素を利用したグルコースの定量検出を行った。前年度においては1uMの検出限界であったが、フェニレンジアミンの濃度やバッファのpHを最適化することによって検出限界を100 nMに改善することが出来た。数分の測定時間で20 uL以下の微量な試料溶液に対する測定が可能であり、従来法に比べ迅速・簡便な測定法であることを示し、Analytical Chemistry誌に発表した。また、レーザー波長依存性を調べた結果、波長532nmのレーザーが最適であるが、メチレンブルーを増感剤として使用することによって633 nmの赤色レーザー光による測定にも成功し、安価かつ小型の測定システムが構築可能であることを示した。2)1ミクロン程度の銀ナノ粒子集合体をガラスやポリマー基板上の任意の場所に作製し、吸着した対象分子を表面増強ラマン散乱により解析する技術開発に取り組んだ。独自の手法で合成した銀ナノ粒子と測定対象分子との混合溶液に近赤外レーザー光を集光し、光捕捉により集光スポット内部にナノ粒子集合体を作製し、基板上の任意の位置にアプローチして固定化するシステムを構築した。表面増強ラマン散乱スペクトル中のリングブリージングモードのピーク強度を解析することにより、1 uM から10 nMの濃度範囲でアデニン分子を定量検出することに成功した
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フェニレンジアミン分子を用いて酸化酵素反応を検出する系においては、測定時間や感度において従来型のグルコースセンサーを上回る結果が得られ、論文化できた。表面増強ラマン散乱を利用した手法においても、光捕捉を利用して銀ナノ粒子集合体を作製するシステム構築が完了し、アデニン分子の定量測定にも成功している。
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Strategy for Future Research Activity |
集光レーザーを利用した酵素反応検出系においては、小型の試作機を作製し、性能等を評価する予定である。また、イムノセンシングへの応用も行う。ラマン散乱を利用する系では、粒径やプラズモン特性を制御した銀ナノ粒子を合成し、測定感度の向上や、他の分子系への展開を行う。
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Research Products
(10 results)