2011 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-炭素、炭素-酸素及び炭素-ケイ素結合の触媒的変換反応の開発
Project/Area Number |
23685021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鳶巣 守 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60403143)
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Keywords | 不活性結合切断 |
Research Abstract |
アリールボロン酸誘導体は鈴木-宮浦カップリング等に用いられ、現在の有機合成において重要な化合物である。遷移金属を用いた触媒的なアリールボロン酸の一般的な合成法としては、アリールハライドとジボロン、ヒドロボランなどのホウ素試薬を用いる方法が知られている。また、近年ロジウムやイリジウム触媒により、芳香環の炭素-水素結合を直接ボリル化できることが報告されている。一方、われわれはこれまでにロジウム触媒存在下、ジシランやヒドロシランを用いた炭素-シアノ結合の切断を経る変換反応を報告している。本研究では、ロジウム触媒存在下、ジボロンを用いると、芳香族ニトリルの炭素-シアノ結合が切断され、対応するボリル化体が得られることを見出した。本反応は、種々の置換基を有するベンゾニトリル誘導体、及びインドールなどのヘテロ環骨格を有する芳香族ニトリルや、アルケニルシアニドにも適用可能である。 さらに、ニッケル触媒を用いたアニソール誘導体のアミノ化反応をすでにわれわれは報告している。しかし、基質の適用範囲がナフタレンなどの縮合多環系化合物に限定されていた。本研究では、キノリンやイソキノリン、さらに単環のピリジン上のメトキシ基がアミノ化されるということを見つけた。得られる複素環アミン誘導体は医農薬品の合成中間体として有用である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、従来有機合成に利用することのできなかった安定かつ強固な化学結合を切断し、変換反応へと利用する触媒系を開発し適用範囲を拡大し一般化することである。炭素-シアノ結合の切断する触媒として、ボリルロジウムを見出すことができた。これは、従来の不活性結合とは全く異なる機構による不活性結合の活性化を可能にする触媒系の発見という意味で重要である。さらに、メトキシ基の切断反応に関して、キノリンやピリジンといった含窒素芳香環上でのアミノ化反応が進行することも見出した。得られるアミン系化合物は生理活性物質の部分構造として重要であり、不活性結合切断反応の適用範囲を大きく広げることができた。 異常の理由により、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で見出した、ボリル-ロジウム種は、一般の炭素-ロジウム種に比べて特異な分極を持っている。この性質を利用した、様々な結合活性化反応について検討する。 近接効果を利用した炭素-ヘテロ原子結合の切断によるヘテロール合成の開発も検討する。
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Research Products
(3 results)