2011 Fiscal Year Annual Research Report
直交分子設計による超高分子工学:機能性自己組織材料の創製
Project/Area Number |
23685024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大内 誠 京都大学, 工学研究科, 准教授 (90394874)
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Keywords | 精密重合 / ラジカル重合 / カチオン重合 / 自己組織化 / 開始剤 / 切断 / 水素結合 / ブロックコポリマー |
Research Abstract |
本研究では,精密重合の開始剤や停止剤に対して、構造制御因子と機能発現因子をあらかじめ組み込む直交分子設計を行い,精密重合と生成高分子の自己組織化構造制御を経て、機能性自己組織材料へと誘導する「超高分子工学」を研究する。 本年度は計画通り,切断因子をポリマー内の明確な位置に導入する研究として,酸で分解可能なヘミアセタールエステル結合を接合部に有するブロックコポリマーに関する研究を行った。この結合がビニルエーテルとカルボン酸を混ぜるだけで生成し,ルイス酸により可逆的に活性化されて精密カチオン重合を開始することに着目し,精密カチオン重合と精密ラジカル重合の組み合わせで,簡便に切断性ブロックコポリマーを合成する手法を確立した。得られたビニルエーテルとメタクリル酸メチルのブロックコポリマーでキャスト膜を作成したところ,自己組織化によるシリンダー構造を形成していることがわかり,さらにこの膜を,酸を含むヘキサン溶液に浸すだけで,接合部が切断され筒部が除去でき,規則的細孔構造を構築できることを明らかにした。 また,水素結合因子を狙いの位置に導入する研究として,相補的水素結合部位を有する二種類の二官能性開始剤を設計・合成し,これらを用いた精密ラジカル重合を確立した。得られたポリマー鎖の中央に相補的水素結合部位が定量的に導入されていることを証明し,さらに得られたポリマー鎖同士が中央で相互作用し,X型の超分子ブロックを形成することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り,構造因子として「切断因子」「水素結合因子」をポリマー鎖の明確な位置に導入するための開始剤設計,それらを用いた重合制御を実現しており,「おむね順調に進展している」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本研究の根幹である「直交分子設計」を推進するために,昨年度までに実現した切断因子の導入に加えて,機能発現因子の導入を行う。また,水素結合因子導入に関しては,ポリマーと水素結合の協調自己組織化がより明確に発現するための分子設計を検討する。
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Research Products
(14 results)