2012 Fiscal Year Annual Research Report
直交分子設計による超高分子工学:機能性自己組織材料の創製
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23685024
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大内 誠 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90394874)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 精密重合 / ラジカル重合 / カチオン重合 / 自己組織化 / 開始剤 / 切断 / 水素結合 / ブロックコポリマー |
Research Abstract |
本研究では,精密重合の開始剤や停止剤に対して、構造制御因子と機能発現因子をあらかじめ組み込む直交分子設計を行い,精密重合と生成高分子の自己組織化構造制御を経て、機能性自己組織材料へと誘導する「超高分子工学」を行なってきた。 平成23年度に引き続き,平成24年度は水素結合因子を狙いの位置に導入する研究として,相補的水素結合部位を有する二種類の二官能性開始剤を用いた精密ラジカル重合,さらにその鎖延長カップリング反応によって,鎖の中央部位や規則正しく水素結合因子が導入された様々な高分子を合成した。さらに,水素結合力のより大きい二官能性開始剤も合成し,同様の高分子を合成した。これら高分子を用いて,水中自己組織化挙動,超分子型グラフト化などを検討し,新しい自己組織化挙動を見出した。 平成23年度に見出したヘミアセタールエステル結合を切断因子として高分子鎖を構築する研究を発展させ,この結合を有する環状開始剤の設計と,それを用いた環拡大リビング重合により,環状高分子鎖の精密合成を実現した。切断基を切断することで,環状鎖であることを証明した。この重合は非常に制御されており,環状鎖のブロックコポリマーや環状鎖と直鎖からなるブロックコポリマーへの展開が見込まれる。 また,配列制御ラジカル重合を目指して,切断性基を組み込んだモノマーやモノマーと開始剤の設計,合成を検討し,配列制御の礎となりうる一分子ラジカル付加制御を実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに,あらかじめ構造制御因子や機能発現因子を組み込んだ開始剤やモノマーを用いて重合を制御するという斬新な手法を用いることで,切断性ブロック共重合鎖や環状高分子鎖などの新しい高分子鎖を構築してきた。また,合成高分子で未踏領域と考えられてきた配列(シークエンス)制御に対しても,このような「組み込み型設計」が有用であることを見出し,該当分野をリードする成果を挙げてきた。これらの成果に対して,数多くの学会発表と,学術論文投稿も数多く行えていることから,おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
相補的水素結合因子の組み込みに対しては,強固な相互作用部位を規則的に有するポリマーの合成ができつつあるので,そのゲル化機能を調べ,構造の明確な超分子ゲルへと発展させる予定である。 切断因子を組み込んだ環状開始剤を用いた環拡大重合に対しては,別の精密重合開始剤を組み合わせることや切断因子の組み込み方を工夫することで,環状鎖と直鎖からなるブロック共重合体やネックレス型ブロック共重合体を合成し,新しい自己組織化材料へと発展させる。 配列制御ラジカル重合に対しては,現在の一分子付加制御を拡張し,配列の明確なオリゴマー合成へと発展させる予定である。
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Research Products
(18 results)