2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23685025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 淳 京都大学, 化学研究所, 准教授 (20335219)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 高分子合成 / 触媒・化学プロセス / リビング重合 / 有機触媒 / 二元制御 |
Research Abstract |
本研究では、二つの役割を担う有機触媒を開発し、それを用いた制御重合を企図した。本年度は、第一に、分子量分布の制御に加えて、共重合組成の変化を検討した。触媒として塩基性の有機分子を検討したところ、スチレンとメタクリル酸メチル(MMA)のランダム共重合において、分子量分布が制御されるとともに、組成がややMMAに富む傾向の共重合体が得られた。第二に、分子量分布の制御に加えて、水酸基を重合中その場で開始基に変換する機能を担う触媒を検討した。本年度は、水酸基として無機水酸基の利用を試みた。触媒としてN-ヨウ化コハク酸イミド等を用いることにより、シリコン基板などの無機基板上の表面水酸基からのグラフト重合に成功した。また、モノマーとして、官能基を有する機能性モノマーを使用することもできた。第三に、熱とともに光で重合を誘起する触媒を検討した。本年度は、ヨウ化アルキルに配位してヨウ化アルキル触媒錯体を与える触媒を探索し、生成する錯体の熱解離と光解離を利用した熱重合と光重合を試みた。その結果、トリブチルアミン、ベンゾピランインドール類、シアニンイオダイド類などが、熱重合と光重合の両方を誘起可能な触媒として見出された。光重合では、触媒は光捕集アンテナとして働き、それぞれ、400 nm、580 nm、720 nmに吸収極大を有することから、これらの触媒を使い分けることにより、多様な励起波長で重合を誘起することに成功した。本年度は、モノマーとして、特に、機能性メタクリレートを含むメタクリレート類に適用した。また、光重合の重要な用途である表面グラフト重合にも、光重合を適用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三つの検討課題について、概ね計画通りに、触媒の開発が進み、機能性モノマーへの適用も進んだ。特に、光重合では、多様な励起波長で重合を誘起可能となり、研究が大きく進捗し、今後の進展も期待しうる。全体的に、研究は概ね順調に進捗していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、触媒の種類をさらに拡張して、制御可能なモノマー、配列、水酸基基材、光励起波長の範囲などを広げ、幅広い材料合成に供する素地を備えていく。
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Research Products
(17 results)