2011 Fiscal Year Annual Research Report
硫酸化糖鎖高分子ライブラリーに基づく病原体の防除材料の展開
Project/Area Number |
23685027
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三浦 佳子 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (00335069)
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Keywords | 硫酸化糖 / 糖鎖高分子 / グリコサミノグリカン / アルツハイマー病 / 病源体 |
Research Abstract |
生理活性多糖であるグリコサミノグリカンの構成糖の合成、及びそのアクリルアミド誘導体を合成した。これを重合することでグリコサミノグリカンのモデル化合物となる糖鎖高分子を得た。また、これらの生理活性をアルツハイマー病防御の観点から検討した。 グリコサミノグリカンの中でも、ヘパリン、ヘパラン硫酸といった主要なグリコサミノグリカンに含まれる硫酸化グルコサミンの誘導体を位置選択的な硫酸化によって達成した。平成23年度研究ではN-アセチルグルコサミン(GlcNAc)を出発原料として、3位硫酸化糖、4位硫酸化糖、6位硫酸化糖、3,4,6位硫酸化糖を合成した。またグルゴースを出発原料として、グルクロン酸を合成した。これらについて、p-アクリルアミドフェニル型の重合性糖化合物とした。また、合成した重合性糖化合物については、フリーラジヵル重合によってアクリルアミドと共重合することで、グリコサミノグリカンモデル糖鎖高分子を得た。糖の含有率はモノマー比率で10-20%程度とし、分子量は10万オーダーとした。 得られた高分子については、アルツハイマー病関連酵素である、βセクレターゼに対する阻害活性を測定して評価した。βセクレターゼ活性は、糖鎖構造に依存し、6位硫酸化糖、3,4,6位硫酸化糖高分子は有意な阻害活性を示し、特に3,4,6位硫酸化糖高分子が顕著な阻害活性を示すことがわかった。また、天然のグリコサミノグリカンであるヘパリンも強い阻害活性を示すことから、硫酸化糖鎖高分子がグリコサミノグリカンモデル高分子として優れた活性を示すことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グリコサミノグリカンの含まれる硫酸化糖としてN-アセチルグリコサミンの位置選択的な硫酸化糖の合成、重合を全て達成したことから概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度以降の研究では、既に合成した硫酸化糖のモノマーを利用して、糖含有率や分子量を変化させた高分子ライブラリーの作製を行い、病原体に対する結合について検討を行う。また、基材にグラフトした薄膜による病原体除去デバイスの作製、硫酸化糖鎖高分子微粒子の合成による病原体除去材料の開発を進める。
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