2012 Fiscal Year Annual Research Report
硫酸化糖鎖高分子ライブラリーに基づく病源体の防除材料の展開
Project/Area Number |
23685027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
三浦 佳子 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00335069)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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Keywords | 糖鎖高分子 / 硫酸化糖 / 病原体除去 / ポリマーブラシ / 多孔膜 / グリコサミノグリカン |
Research Abstract |
細胞表面には普遍的にグリコサミノグリカンと呼ばれる生理活性多糖が存在している。グリコサミノグリカンは、グルコサミンとウロン酸の共重合体とその不斉異性体からなり、多くが硫酸化している。本研究では、N-アセチルグルコサミンを基本骨格として、グリコサミノグリカンの硫酸化モノマー、及びそれをラジカル重合した糖鎖高分子を合成している。 アクリルアミドフェニル型のN-アセチルグルコサミンの硫酸化糖モノマーの合成については、3位または4位または6位を位置選択的に硫酸化した化合物、3,4,6位の全てを硫酸化したモノマーの合成、及びポリマーの合成を行った。2位のアミノ基を硫酸化する化合物については、途中のステップまで完成した。これらのポリマーについてアルツハイマー病βセクレターゼの阻害活性があることを既に発見しているが、これらの酵素の阻害効果が酵素の活性サイトへの糖鎖高分子の吸着であることを明らかにした。 また、糖鎖高分子を用いた、病原体の除去材料の開発を進めた。シリカモノリス多孔体に対して、表面開始リビングラジカル重合を利用することで、糖鎖高分子の固定化を行った。糖鎖高分子修飾多孔膜に対して、ターゲットタンパク質を投与すると分子認識性に従って特異的にタンパク質を吸着除去できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、予定していた硫酸化糖鎖高分子の合成は順調に進んでいる。また、本研究では糖鎖高分子を利用した病原体の除去システムの構築を行うが、シリカモノリス多孔膜に対する糖鎖高分子ブラシの調製とモデルタンパク質の除去についてまで研究が進行しているため
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Strategy for Future Research Activity |
先ず、硫酸化糖鎖高分子のライブラリーの拡張を行う。位置選択的な硫酸化糖のライブラリーについて、N-硫酸化糖についてモノマーの合成を行う。平成24年度までに合成したモノマーも含めて、糖モノマーの種類、分率、分子量、組み合わせなどを変えて重合を行い、ライブラリーの合成を行う。硫酸化糖鎖高分子のライブラリーについては、100種類程度の高分子ライブラリーを合成する。硫酸化糖鎖高分子ライブラリーについては、グリコサミノグリカンとの結合性のある、βセクレターゼ、アミロイドβ、ヘパリナーゼについて検討する。 また、これまでに多孔膜に対してマンノース、アセチルグルコサミンを持つポリマーブラシを固定化して、特定のタンパク質の除去能を検討してきた。今後は硫酸化鎖高分子ブラシの調製とウイルス由来タンパク質などの病原体除去能を検討する。
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