2011 Fiscal Year Annual Research Report
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23685030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
荒谷 直樹 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60372562)
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Keywords | アセン / 合成化学 / ナノ材料 / 構造・機能 |
Research Abstract |
これまでにない大きなπ共役系をもつオリゴアセンの合成戦略および合成ルートを確立し、その物性を探索する。申請者はすでに、これらの化合物の合成を念頭に置き、世界最大のオリゴアセンキノンであるノナセンキノンの合成に成功していた。申請者は、5,11,16,22位に電子求引性の置換基を導入することで、溶解性と安定性を確保し、化合物の単離・同定に至った。このノナセンキノンとアニリンとの脱水縮合によってイミンを合成し、これをヒドラジンで還元することにより濃緑色の溶液を得ることにも成功した。この合成ルートが非常に有望であることを示している。ヘプタセン以上のオリゴアセンについては、理論上、開殻系(いわゆるシングレットビラジカル)であることが予見されており、これは有機化学上の大問題である。これについて実在する分子による明確な証拠を提示することは、学術的に大変重要である。 また、縮環芳香族としてポルフィリン類の効率的な多量化合成にも成功し、その特異な光物性についても明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者はすでに、電子求引性の置換基を効果的に導入することにより、世界最大のオリゴアセンキノンであるノナセンキノンの合成に成功している。ここで、鍵となるのは化合物の溶解性・反応性である。特に溶解性は化合物の同定にも影響するので非常に重要である。すでにキノンの反応性も探索しており、アニリンとの脱水縮合によってキノンジイミンを生成し、安定に単離できることを見出した。X線結晶構造解析以外の化合物同定を終えている。
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Strategy for Future Research Activity |
溶解度と化学的安定性を確保する方策を中心に考えつつ、引き続きアセン類の効率的な合成方法の探索を続ける。また、アセンの多量化についても検討する。X線結晶構造が得られていない化合物については、単結晶の作成を成功させる。
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