2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23685030
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
荒谷 直樹 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 准教授 (60372562)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アセン / 合成化学 / ナノ材料 / 構造・機能 |
Research Abstract |
前年度までに、世界最大のオリゴアセンキノンであるノナセンキノンの合成に成功し、すでにキノンの反応性も探索しており、アニリンとの脱水縮合によってキノンジイミンを生成し、安定に単離できることを見出した。また、アセンの途中に酸素原子を導入した拡張キサンテンの合成にも成功し、1000 nm程度にまで吸収を持つ化合物の単離にも成功している。今年度は更にオリゴアセンの多量化に挑戦し、直接結合型ペンタセン2量体の合成に成功した。世界でも3例目、結晶構造が得られたのは2例目であるが、直交する2つのペンタセン平面が分子間でスタックして2次元的なネットワークを形成していることを明らかにした。これは電荷輸送には好適である。さらに同じ前駆体からテトラシアノビスペンタセンキノジメタンの合成に初めて成功した。ペンタセン2量体、テトラシアノビスペンタセンキノジメタンいずれも特徴的な酸化還元挙動を示すことを電気化学測定から明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としているノナセンの合成に加え、ペンタセン2量体やテトラシアノビスペンタセンキノジメタンの合成に成功し、その物性を電気化学測定によって明らかにすることができた。特にペンタセン2量体に関しては単結晶の構造解析に成功しており、π電子の2次元的なネットワーク形成までも明らかにした。溶解度の確保と電子求引性置換基によるHOMOの安定化によって酸化に対する化学安定性の確保という化合物合成戦略が功を奏していることを物語っている。
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Strategy for Future Research Activity |
デバイス化に向けて分子の合成だけではなく分子間の集合状態の制御まで含めた分子設計を必要としている。分子の側面にアリール基を導入することは分子間の反発を招くため避けられがちであるが、ルブレンの単結晶が非常に大きな伝導度をもつことからもわかるとおり、実はフェニル基程度であれば分子間距離が伸びても伝導度には影響しないのではないかと考えている。これを実証するために新たな化合物群の合成に挑戦する。
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Research Products
(16 results)