2011 Fiscal Year Annual Research Report
常温液状π共役材料の創製とフォトニックメモリ媒体への応用
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23685033
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
中西 尚志 独立行政法人物質・材料研究機構, 高分子材料ユニット, 主幹研究員 (40391221)
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Keywords | 有機液体 / 白色発光 / π共役分子 / レオロジー / Newtonian Liquid / 蛍光発光 / フォトルミネッセンス / フォトルミネッセンス |
Research Abstract |
本研究では、π共役系分子コアを複数の柔軟性側鎖により取り囲むことで、低粘性、低融点、不揮発性、フレキシブル、高屈折率、かつ微細化・薄層化可能な無溶媒の常温液状物質の創製と機能創発を目的とする。 π電子系材料固有の光電子機能を保持するフルイドマテリアルとして活用し、低炭素化技術に貢献できる情報記録材料、光エネルギー変換材料としての有用性を見出す。情報記録材料としては、カラーコードインクへの応用を検討する。 また、常温液体としての未探索な機能、物理現象を明らかにすることで、コア分子と側鎖間の相関をパラメータ化し、本液状物質群の基盤コンセプトを確立する。 以上、無溶媒常温液状π共役物質の基礎物性解析および応用展開を同時に試みることで、本コンセプトの一般化を目指し、実際にプリンティングエレクトロニクス・テクノロジーにおける主要材料となるよう研究を進める。 H23年度は、コアにオリゴエチレンビニレン(OPV)やアントラセン、フルオレンオリゴマー、BODIPY等のπ共役系分子を採用し、その液状物質の創製に取り組んだ。特にOPVの場合は青色蛍光を示す液状物質を得ることができ、固体蛍光ドーパントの添加によって白色発光インク材料の創製に成功した。文字の印字、大面積ペイントおよびUV-LEDコーティングによる白色発光機能の応用を示した。その他の分子でも青色や赤色発光液体を得ており、液体同士の混合やオリゴマー長に依存した物性変化の議論を進めるなど、徐々に未探索であった不揮発性の発光性常温液状物質の理解を深めることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
コアに用いるπ共役系分子としてオリゴフェニレビニレン(OPV)を選択し、分岐アルキル側鎖を導入することで青色発光の不揮発性常温液体の開発に成功した。さらに、液体の特徴を活かし、固体発光色素を適宜加えてかき混ぜるのみで、白色発光を示すペースト材料の開発に至った。本コンセプトは、今後開発する液状物質へ同様に応用可能であり、物質の溶媒機能のポテンシャルを大いに発揮する結果を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
先ずは、様々な機能性コアを選択し、疎水性のみならず親水性側鎖を導入した常温液体の創製を行う。コアには様々な発光色をしめすπ共役系分子の他、金属錯体、金属ナノ粒子を採用する。また、有機ラジカルや磁性錯体、微粒子をコアとすることで磁性流体としての応用も模索する。 一方で、液体のままの材料化と同時に固化・ゲル化を施した色素濃度が極めて高い薄膜材料の創製も視野に入れている。
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