2011 Fiscal Year Annual Research Report
活性点分離の概念を機軸とする酸化的炭素-炭素結合形成反応の開発
Project/Area Number |
23685036
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
田嶋 稔樹 芝浦工業大学, 工学部, 助教 (50361770)
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Keywords | 活性点分離 / 炭素-炭素結合形成反応 / 固体酸 / 固体塩基 |
Research Abstract |
本研究では、我々がこれまでの研究過程で提唱した有機電解合成における活性点分離の概念を方法論的原理の基盤とし、炭素一水素結合を炭素一炭素結合へと直接変換する酸化的炭素一炭素結合形成反応を新たに開発することを目的とする。平成23年度は、有機電解合成における活性点分離の概念に基づき"電解酸化を受けない炭素求核剤"を創製するために、イオン結合や共役酸塩基対を利用して炭素求核剤を固体に固定化する方法について検討を行うとともに、固体に固定化された炭素求核剤が"電解酸化を受けない炭素求核剤"として機能するかについて電気化学的に検討を行った。まず、イオン結合を利用してシアン化物イオンやアセチリド、さらにはNO2を固体(-NMe3+末端)に固定化することに成功し、これらの固体に固定化された(炭素)求核剤は何れも"電解酸化を受けない(炭素)求核剤"として機能することを電気化学的に明らかにした。一方、炭素求核剤である酸と固体塩基の酸塩基反応により、炭素求核剤を共役酸塩基対として固体(塩基末端)に固定化することにも成功し、これらの固体に固定化された炭素求核剤は何れも"電解酸化を受けない炭素求核剤"として機能することを電気化学的に明らかにした。また、有機化合物の電解酸化により生成する炭素カチオンが固体酸存在下において安定化もしくは固体酸末端に固定化されることも明らかにした。これらの研究成果は本研究の方法論的原理の妥当性を示すものであり、平成24年度以降に有機化合物の電解酸化により生成する炭素カチオンと固体に固定化された炭素求核剤を直接反応させることで酸化的炭素-炭素結合形成反応が開発出来るものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の当初の計画は、炭素求核剤を固体に固定化する方法を検討するとともに、固体に固定化された炭素求核剤が"電解酸化を受けない炭素求核剤"として機能するのかを電気化学的に検証することであった。これに対し、炭素求核剤をイオン結合や共役酸塩基対を利用することで固体に固定化することに成功し、それらが"電解酸化を受けない炭素求核剤"として機能することを明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究において、炭素求核剤をイオン結合や共役酸塩基対を利用することで固体に固定化することに成功し、それらが"電解酸化を受けない炭素求核剤"として機能することを明らかにした。今後は当初の計画通り、有機化合物の電解酸化により生成する炭素カチオンと固体に固定化された炭素求核剤を直接反応させることで、酸化的炭素-炭素結合形成反応の開発を行う。また、有機化合物の電解酸化により生成する炭素カチオンが固体酸存在下において安定化もしくは固体酸末端に固定化されることを平成23年度に見出したことから、この詳細についても検討を行い、酸化的炭素一炭素結合形成反応へと応用展開を図る予定である。
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Research Products
(3 results)