2013 Fiscal Year Annual Research Report
活性点分離の概念を機軸とする酸化的炭素-炭素結合形成反応の開発
Project/Area Number |
23685036
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
田嶋 稔樹 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (50361770)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 有機化学 / 活性点分離 / 炭素カチオン |
Research Abstract |
本研究では、我々がこれまでの研究過程で提唱した“有機電解合成における活性点分離の概念”を方法論的原理の基盤とし、炭素-水素結合を炭素-炭素結合へと直接変換する酸化的炭素-炭素結合形成反応を新たに開発することを目的とした。すなわち、有機電解合成における活性点分離の概念を炭素求核剤に適応することで“電解酸化を受けない炭素求核剤”を創製し、有機化合物の電解酸化により生成する炭素カチオンと“電解酸化を受けない炭素求核剤”を直接反応させ、従来法では困難であった1段階での酸化的炭素-炭素結合形成反応を開発することを目的とした。本目的を達成するために、平成25年度は以下の検討を行った。 (1)電解酸化を受けない炭素求核剤を用いる酸化的炭素-炭素結合形成反応の開発 イオン結合を介してアセチリドを固体に固定化できることを見出した。しかしながら、アセチリドはイオン交換反応によって固体から流出することが明らかになった。 (2)固体酸または強酸存在下におけるカルバメート類の電解酸化反応とその炭素-炭素結合反応への応用(ワンポットでの酸化的炭素-炭素結合形成反応の開発) 平成23-24年度の研究において、有機化合物の電解酸化により生成する炭素カチオンは固体酸だけではなく強酸存在下においても安定化するものと考えていたが、平成25年度の研究において、炭素カチオンはその等価体であるヒドロキシ化体として存在することが明らかになり、固体酸や強酸はヒドロキシ化体を活性化し、炭素カチオンを再生する役割を果たしていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度当初の計画は、(1)電解酸化を受けない炭素求核剤を用いる酸化的炭素-炭素結合形成反応の開発と、(2)固体酸または強酸存在下におけるカルバメート類の電解酸化反応とその炭素-炭素結合反応への応用(ワンポットでの酸化的炭素-炭素結合形成反応の開発)について検討を行うことであった。これに対し、(1)については酸化的炭素-炭素結合形成反応のみならずそのワンポット反応への応用の可能性が示され、(2)については反応中間体であるN-アシルイミニウムイオン等価体が対応するヒドロキシ化体であることが明らかになったことから、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)電解酸化を受けない炭素求核剤を用いる酸化的炭素-炭素結合形成反応の開発 平成23-25年度に得られた結果を基にして、電解酸化を受けない炭素求核剤を用いる酸化的炭素-炭素結合形成反応について、反応の一般性や適応範囲について検討を行う。 (2)ワンポットでの酸化的炭素-炭素結合形成反応の開発 平成23-25年度に得られた結果を基にして、固体酸または強酸存在下におけるカルバメートの電解酸化反応とその炭素-炭素結合形成反応への応用について、反応の一般性や適応範囲について検討を行う。 (3)活性点分離を利用したワンポット多段階反応の開発 平成25年度に得られた結果を基にして、ベンジルアルコールの電解酸化によるベンズアルデヒドの合成とそのニトロアルドール反応への応用について検討を行う。
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