2011 Fiscal Year Annual Research Report
集積型有機発光デバイスの導波路自己形成技術による作製とμチップ型光学分析への応用
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23685044
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
山下 兼一 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (00346115)
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Keywords | 光導波路 / 有機光デバイス / システムオンチップ / 光物性 |
Research Abstract |
本研究では、通常は光学ベンチ上で行われるべき様々な光学評価・分析を簡易チップ上で実現することを目指し、有機材料による「微細光源」を光回路上へ集積作製する技術を確立することを目的としている。研究初年度では、これまでに開発を行ってきた自己形成活性導波路技術を発展させ、集積型光源デバイス作製技術の確立を目指した実験を行った。主に広帯域発光型光源素子と単一波長発振型レーザ素子の集積作製技術について検討した。 まず、広帯域発光型素子の検討結果について述べる。厚膜レジストSU-8を用い、酸化膜付シリコン基板上にマイクロ流路とポリマー導波路が集積された微細加工パターンを作製した。この基板をプラットフォームとし、異なった発光帯を持つ色素がドープされたプラスチック導波路の直列接続構造を、自己形成活性導波路技術により一括作製した。SU-8導波路へ可視光領域全体に広がる広帯域発光が結合されることを確認した。また、この広帯域白色光をプローブ光として、マイクロチップ上の微量検体に対する吸収測定が可能であることを確認した。 一方、単一波長発振型レーザ素子に関しては、分布帰還(DFB)型のレーザキャビティ構造を作製するために、まず、ロイドミラー法による干渉露光系の構築を行った。このために、低出力のHe-Cdレーザ光源を学内で入手した。実際に作製した自己形成活性導波路にDFB構造の作製プロセスを施し、このサンプルからの発光を高スペクトル分解能測定システムにて評価した。この評価システムでは新たに購入した高感度CCD検出器を既存の高分解能分光器と組み合わせて用いている。評価を行った結果、発振は観測されたが横マルチモード伝搬に起因して発振モードは複数となってしまった。そこで自己形成活性導波路のコア径を小さくしていったところ、伝搬モード数の低減により発振モード数が抑制されていくことが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書で述べていた通り、自己形成活性導波路技術をベースとしたプラスチック導波路直列接続型の広帯域発光光源、及びDFB型のレーザ発振光源を達成した。さらに、広帯域発光光源を実際にマイクロチップ上に集積作製し、吸収測定型の光学分析が可能であることも実証した。しかしながら、導波路コア径は当初の目的である10umまでは達成できておらず、特にDFB型単一レーザ発振光源の達成に向けての課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度開発に成功した集積型の広帯域発光光源を用い、光励起状態の電子状態評価などの高度光学分析への展開を図る。また、自己形成活性導波路の単一波長でのレーザ発振を達成するために、シングルモードでの伝搬が可能なサイズでの素子作製を実現する。これまでは、導波路作製光源の導入ポートとして光ファイバにこだわってきたが、対物レンズ系を用いた空間照射のよる露光系を検討する。
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Research Products
(10 results)