2011 Fiscal Year Annual Research Report
精密に構造制御したポリマーブラシ付与複合微粒子の体内動態に関する基礎科学的研究
Project/Area Number |
23685049
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大野 工司 京都大学, 化学研究所, 准教授 (00335217)
|
Keywords | 高分子合成 / 高分子構造・物性 / 生体材料 / ナノ材料 / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
表面開始リビングラジカル重合(LRP)により、分散性に優れた、ポリ(ポリエチレングリコールメタクリレート)を付与したシリカ微粒子(PPEGMA/SiP)を合成した。この際、SiPコアの粒径およびブラシ鎖長を変え、構造因子の異なる一連の複合微粒子を調製した。高圧力下(200MPa)で表面開始LPRを行い、重量平均分子量Mwが100万に及ぶ高分子量ポリマーの合成にも成功した。得られた複合微粒子の体内動態挙動を評価した。まず、コア粒子径の依存性を評価するために、グラフトポリマーの分子量(約10万)がほぼ等しく、コア粒径が異なる試料の体内動態を評価した。シリカ粒径が15nmの試料において、投与24時間後の血中残存率は約30%であり、非常に優れた血中滞留性を示した。一方、シリカ粒径が130nm、740nmと大きくなるに伴い、血中滞留性は悪くなった。この結果は、大きな粒子は血中滞留性が悪い傾向にあるという、これまでの報告に合致している。また、グラフトポリマー鎖長の依存性を評価した結果、分子量が約5万、10万、30万、40万と大きくなるに伴い、血中滞留性が良くなった。グラフト鎖の分子量が大きくなると、複合微粒子の流体力学的サイズが大きくなるためだけではなく、表面の有効グラフト密度が小さくなり、タンパクが吸着しやすくなると考えられ、血中滞留性が悪くなると推測したが、本研究結果はそれに反した。これは、複合微粒子のサイズのみならず、粒子の表面弾性率やグラフトポリマー鎖の運動性などが生体内相互作用において重要な因子であることを示唆する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構造パラメータ(コア粒子径、グラフト鎖長)を変えた一連のサンプルを調製し、それらの体内動態を系統的に評価することによって、複合微粒子の生化学的特性について基本情報を得ることができたため。これにより、新たに解決すべき課題が見出せたことも意義深い。
|
Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に展開しており研究計画の変更は必要ない。今年度に確立した微粒子合成技術を駆使すれば、次年度以降に要求される特殊構造複合微粒子の合成が達成できると期待できる。
|
Research Products
(9 results)