2011 Fiscal Year Annual Research Report
高分子鎖一本の三次元コンホメーション計測を通して明らかにする高分子複合系の物理
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23685050
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 裕之 京都大学, 先端医工学研究ユニット, 准教授 (90343235)
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Keywords | 高分子ブレンド / 単一分子検出 / 高分子鎖 / 超解像 / 蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究は高分子鎖一本のコンホメーションを三次元的に直接観察できる超解像光学顕微鏡システムの開発を行い、これを応用することで高分子複合材料の物性を明らかにすることを目的とするものである。本年度では高分子鎖一本一本を直接観察できる超解像光学顕微鏡システムの開発を行った。画像取り込みに使用するEMCCDカメラの最適化と励起レーザーのパワーを向上させることで、超解像顕微鏡の計測時間を30%短縮することができた。またピエゾアクチュエーターによる対物レンズ微動機構を導入することで、数nmオーダーの精度で焦点位置の調整を行うことができるようになった。これにより焦点を長時間にわたって高精度に維持することができるようになったとともに、z軸方向のサンプルドリフトの影響が最小限に抑えられ、高分子鎖の三次元コンホメーションを精度良く計測することが可能になった。一方、フォトクロミック性蛍光色素であるローダミンスピロアミドが疎水性高分子媒体中の超解像観察に有効であることを見出し、ローダミンスピロアミドを含有するメタクリレートモノマー化合物を合成した。これを種々のモノマーと共重合することで、超解像光学顕微鏡で観察可能なポリメチルメタクリレートおよびポリブチルメタクリレートを合成した。本研究では、高分子材料のマクロ物性と単一高分子鎖レベルでの振る舞いを比較するが、そのための基礎データとして種々の高分子についてバルク状態における応力緩和測定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画で設定した目標に加えて、高分子試料の応力緩和測定を計画を前倒しして行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
せん断変形および応力緩和に対応した単一高分子鎖の挙動を超解像顕微鏡によって追跡する。一方で、さらなる高精度なコンホメーション解析のために高分解能化に向けた超解像顕微鏡の改良も行う。
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Research Products
(4 results)