2011 Fiscal Year Annual Research Report
希釈窒化物半導体光源を用いた誘電体ロッド型フォトニック結晶レーザの創出
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23686004
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石川 史太郎 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60456994)
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Keywords | 化合物半導体 / 分子線エピタキシー / 結晶成長 / 希釈窒化物半導体 / デルタドーピング / フォトニック結晶 |
Research Abstract |
TM偏光源として希釈窒化物半導体を導入したナノワイヤ配列の、分子線エピタキシー法による作製技術基盤の確立とフォトニック結晶展開を目的として、以下の研究を行った。 1. 分子線エピタキシー結晶成長:(1)超局所窒素導入/GaAsNナノワイヤの結晶成長の高品質結晶成長に向けたGaAsへの窒素導入手法の確立、デルタドープによるバンド構造制御の可能性について検討した。デルタドープによるバンド構造制御では、成長結晶表面に窒素を照射した場合でも歪の影響でその深さ方向分布が広がりを持つこと、AlGaAs/GaAs量子井戸構造中に0.03-0.5ML相当の窒素デルタドープを行うことで1.4eVから1.15eVなで発光波長を制御できること、デルタドープ層の積層によってさらに発光波長が制御可能であることを見出した。またそれらバンド構造変化の傾向は、強結合近似法を用いたバンド構造計算からも示唆されること確認した。(2) 窒素導入ナノワイヤ結晶成長/構成元素であるGaの自己触媒効果を用いることで、数μm以上の長さを有し、 直径を数100nm以下で高精度に制御した窒素導入ナノワイヤが作製できる見通しを得た。 2.フォトニック結晶展開:(1)理論計算/FDTD法を用いて行ったフォトニックバンドおよび電磁界分布計算から、提案誘電体ロッド構造においてフォトニックバンドギャップおよび局在モードの効果を利用することが可能であることを確認した。(2)希釈窒化物半導体のフォトニック結晶のような微細加工構造導入に係るサイズ効果について検討し、一般的に光利得材料として用いられるGaInAsなどよりも表面再結合の影響が小さく、有望な利得材料となりうることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は以下に示すような結果が得られており、当初2年間で予定していた研究まで進めることができた。さらにこれら技術基盤は、今後研究を展開する上で重要な要素技術となるものであるため、来年度さらに充実した研究成果が得られると考えられる。 (1)超局所窒素導入GaAs分子線エピタキシー結晶成長/GaAsNナノワイヤの結晶成長の高品質結晶成長に向けたGaAsへの窒素導入手法の確立、デルタドープによるバンド構造制御の可能性について検討した。デルタドープによるバンド構造制御では、成長結晶表面に窒素を照射した場合でも歪の影響でその深さ方向分布が広がりを持つこと、AlGaAs/GaAs量子井戸構造中に0.03-0.5ML相当の窒素デルタドープを行うことで1.4eVから1.15eVなで発光波長を制御できること、デルタドープ層の積層によってさらに発光波長が制御可能であることを見出した。またそれらバンド構造変化の傾向は、強結合近似法を用いたバンド構造計算からも示唆されること確認した。(2) 窒素導入ナノワイヤ結晶成長/構成元素であるGaの自己触媒効果を用いることで、数μm以上の長さを有し、 直径を数100nm以下で高精度に制御した窒素導入ナノワイヤが作製できる見通しを得た。(3)フォトニック結晶展開理論計算/FDTD法を用いて行ったフォトニックバンドおよび電磁界分布計算から、提案誘電体ロッド構造においてフォトニックバンドギャップおよび局在モードの効果を利用することが可能であることを確認した。(4)希釈窒化物半導体のフォトニック結晶のような微細加工構造導入に係るサイズ効果について検討し、一般的に光利得材料として用いられるGaInAsなどよりも表面再結合の影響が小さく、有望な利得材料となりうることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
【今後の研究の推進方策】 結晶成長においては、希釈窒化物半導体ナノワイヤ分子線エピタキシー結晶成長の展望を得ている。同ワイヤは過去に報告例が全く存在しない画期的材料であるとともに、本研究の最重要基礎構成材料となる。従って、研究は同結晶成長に最も重点をおいて遂行する。さらに、伸張歪型量子構造をTM偏光源としてフォトニック結晶に応用することも、バンドギャップや電磁界分布の理論計算より展望を得られている。当該内容については、ナノワイヤの結晶成長とは別途並行して、比較的容易に作成可能なエッチング技術を用いた試料作成を以て、実験的検証を進める。結晶成長で作製されるナノワイヤをフォトニック結晶へ応用するには加工基板などを用いた位置選択成長が必要であるため、当該基礎技術については各種リソグラフィー技術を比較検討しつつ、有効に遂行可能な手法を確立していく。
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Research Products
(21 results)