2012 Fiscal Year Annual Research Report
酸化亜鉛系強相関2次元電子系の輸送特性評価と新奇量子相探索に関する研究
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23686008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塚崎 敦 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (50400396)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 半導体物性 / 結晶工学 / 表面・界面物性 / 量子エレクトロニクス / 強相関エレクトロニクス |
Research Abstract |
本研究では、酸化亜鉛を主とするヘテロ構造界面における2次元電子系の輸送特性を評価し、低電子濃度領域における強い電子相関に注目した新奇電子相の探索を行うものである。特に、低電子濃度領域においても高移動度を維持するために、分子線エピタキシー法を用いた高品質界面の作製に注力している。加えて、今年度は電子相関の寄与を明確にするために、新しい評価手法としてサイクロトロン共鳴を行い、電子の有効質量を見積もった。これまでの電気的な輸送特性評価では、電子相関によってバルクの電子有効質量から約1.6倍大きくなることが知られていた。今回、ZnO系ヘテロ構造の2次元電子系で初めてサイクロトロン共鳴を評価したところ、電子濃度の異なる3つの試料において、電子有効質量はバルク値とほぼ同等の値が得られた。このような、2次元電子濃度の異なる試料を系統的に輸送特性評価とサイクロトロン共鳴を比較した結果はほとんどなかったが、輸送特性評価で観測される電子有効質量の増強効果が電子相関に起因することが改めて示された。本結果は、Physical Review Lettersに受理された。 続いて、新しい電子濃度制御手法として、真空もしくは空気を絶縁層とする電界効果トランジスタの作製技術構築を行った。これまでに、界面2次元電子系の濃度制御には、アルミナなどの固体ゲート酸化膜を持つ電界効果型素子構造を用いてきた。しかしながら、低電子濃度領域においては絶縁層中もしくは界面近傍の欠陥準位によって、電子濃度が変化したり、準位が乱れたりすることで、絶縁化することが問題となっていた。そこで今回、絶縁層を必要としない電子濃度制御法として、真空もしくは空気などの空間を用いた素子構造の作製を行った。実際に、約100V印加で5x1010cm-2の制御に成功したので、今後、乱れの抑制された低濃度・強相関2次元系の量子相探索を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高品質2次元系の電子相関による輸送特性変化や量子相安定性の検証を行うために、まず、電子相関の寄与であることを、輸送特性評価とは異なる手法で確認できたことは非常に意義深いと考える。また、低濃度領域に潜む新奇量子相を輸送特性評価で観測するためには、できる限り乱れを抑制した電子濃度制御技術が欠かせない。分子線エピタキシー法を用いることで高移動度化された界面と、今回の伝導制御手法を用いて、新奇量子相の探索が可能になった、と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
構築してきた成長技術と制御技術を駆使することで、最終年度は極低温・強磁場下での輸送特性評価に注力したい。電子相関の寄与は、2次元電子系の深さ広がりにも影響されるため、量子相探索のためには、素子構造の最適化と同時に、乱れを抑制する必要がある。真空ギャップを利用した制御手法を活用し、乱れの抑制された輸送特性において、温度変化や磁場方位の角度依存性などを詳細に検討することで、量子相を探索する。加えて、メゾスコピック素子への適用も検討するためには、固体ゲート酸化膜とヘテロ構造との界面形成における欠陥低減手法を見出す必要があると考えており、電子濃度制御技術として二つの手法をより進化させる。最後に、これらの2つの素子での同じ電子濃度領域の輸送特性を比較して、量子相の安定性などについて確たる議論を展開する。
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Research Products
(6 results)