2011 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルス電子ビームを用いたリアルタイム2Dテラヘルツ分光システムの開発
Project/Area Number |
23686018
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
黒田 隆之助 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 主任研究員 (70350428)
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Keywords | テラヘルツ / 光源技術 / 分光技術 / 加速器 / 高性能レーザー |
Research Abstract |
本研究は、小型加速器ベースの高出力テラヘルツ光源を開発し、テラヘルツパルスによる時間領域分光を行うと同時に、ラインスキャン法を用いたリアルタイム2D吸収スペクトルを取得する手法の実現を目指すことを目的としている。 本年度は、産総研Sバンド小型電子リニアックを用いてエネルギー約40MeVの高輝度・超短パルス電子ビームを生成し、コヒーレント放射を用いた高出力テラヘルツパルスによるEOサンプリング法をベースとした時間領域分光の実証試験を行った。コヒーレント放射源には、光源の特性を考慮し、アルミターゲットによる遷移放射光を生成した。生成したコヒーレント・テラヘルツ遷移放射光を、テラヘルツレンズによって一旦平行光にし、Z-cut結晶水晶窓によって大気中に取り出し、再度テラヘルツレンズによって、EO結晶に集光した。EO結晶としては、信号強度をかせぐため5mmと10mmのZnTe(100面)結晶を用いた。EOサンプリングのプローブ光としては、加速器と同期したTi:Saフェムト秒レーザーを用い、テラヘルツパルスと同時にEO結晶に集光した。結晶を透過したプローブ光は、10^-7のコントラストを持つ偏光子を透過させ、プローブ光の位相変化をPhotoDiode(PD)によって検出した。上記手法により、光学遅延を用いたポンププローブ法を行うことで、5mm、10mmの両結晶においてテラヘルツ時間波形の取得に初めて成功した。測定した時間幅は約1.7(ps)であった。テラヘルツのスペクトルとしては、^-0.4THz程度であった。しかしながら、本手法の時間分解能は、テラヘルツパルスとプローブパルスとの時間ジッターと、結晶の応答帯域によって制限される。次年度以降は、これらの問題を解決していき、時間分解能の向上と、スペクトルの広帯域化を行っていく。同時に、チャープパルスをプローブ光としたシングルショット時間領域分光への目処をつけ、リアルタイム2Dスペクトル測定の実現を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は前半こそ震災の影響で進展が送れていたが、後半は加速度的に進展し小型リニアック施設を用いた超短パルス電子ビームによるテラヘルツ領域のコヒーレント遷移放射光生成、及びそれを利用した高出力テラヘルツ時間領域分光に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、コヒーレント・テラヘルツ遷移放射光パルスとプローブパルスとの時間ジッターの軽減と、結晶厚の最適化が重要なポイントとなる。時間分解能向上のため、高調波同期によるジッターの軽減と、結晶長の最適化を行う。後者は、信号強度とのトレードオフであるが、結晶長1mm前後での測定を目指す。同時に、チャープパルスをプローブ光としたシングルショット時間領域分光への目処をつけ、リアルタイム2Dスペクトル測定の実現を目指す。
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Research Products
(11 results)