2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23686024
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
垂水 竜一 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (30362643)
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Keywords | 非線形弾性体 / 弾性定数 / 超音波共鳴法 / 変分問題 |
Research Abstract |
本年度は、一次元非線形弾性体について本研究で構築した理論の数値解析による検証を行った.その結果,非線形性に起因して生じる以下の現象とその特徴を明らかにすることができた:作用汎関数の停留条件を満足する非線形弾性体の運動は時間周期解である,非線形弾性体の共鳴周波数は振動振幅の増加に伴い単調減少する,共鳴周波数の振動振幅依存性は弾性体の持つ非線形性と密接な関係を持つ,非線形効果により励起される高次振動は対称性に応じて特定の振動モードが選択的に励起される.また関連課題として,二次元線形弾性体の共鳴振動問題について,エアリーの応力関数を用いた解析法を新たに考案した.以上の結果は,英文誌へ投稿し掲載されている(一部は印刷中).また,従来の超音波共鳴法を用いてランガサイト,リチウムタンタレイト,リチウムナイオベイト単結晶に対する低温域の弾性定数・圧電定数係数を行ったため,それらの成果を英文誌へ投稿した.これらの論文も既に掲載されている(一部は印刷中).これらの研究と並行して,本研究の主目的である二次元非線形弾性体に対する共鳴振動理論の構築を進めた.ここで,理論構築の対象はサブナン・キルヒホッフ型の超弾性体とした.この結果,基礎理論の主要な部分はほぼ完成させることができたが,その形式が未だ煩雑であるため,数値計算に十分適し形には整理しきれていない.そのため,現在はこの基礎理論の推敲を進めている.また,数値計算用に大型計算機を導入したため,これを用いた数値解析用のプログラムを作成している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は二次元弾性体の基礎理論を完成させる予定であったが,理論の煩雑性のため予定以上に数値計算に時間がかかり,その完成には至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り,本年度は当初の計画よりやや研究が遅れているが,遅れの程度はごくわずかであり,また現在取り組んでいる箇所が本研究全体を通して理論的に最も困難な点であるため,予め予想していたことでもある.またこの問題を解決すると,次年度予定している三次元弾性体の基礎理論構築は比較的容易に進めることができる.そのため,現時点で当初の研究計画を変更する必要は全くなく,多少の時間を費やすことになったとしても,今は目の前の問題の完全解決を図る方針である.それが,長期的に見たときに,本研究を達成するための最短のルートになると考えられる.
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