2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23686024
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
垂水 竜一 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30362643)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 三次弾性定数 / 共鳴振動 / 超音波共鳴法 / 非線形弾性理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の最終年度となる本年度は、準線形共鳴振動理論の構築に取り組んだ。この理論は、弾性体の形状、密度、および二次と三次の弾性定数を与えると、その弾性体が持つ共鳴周波数とその圧力依存性を計算するものである。数値計算時のコストを削減するため、この理論では、当該研究によって昨年度までに得られた成果の一つである磁性点群と、物性物理学で多用されている準調和近似理論を併用している。ここで磁性点群とは、非線形共鳴振動内に見つかった新しい共鳴振動対称性(カラー対称性)を一つの対称操作と見た際に、その集合が作る群の構造を指している。
準線形共鳴振動理論を用いて、これまでに二次および三次の弾性定数がともに計測されている様々な金属元素について解析モデルを構築し、その共鳴周波数と圧力依存性を理論的に計算した。更に、熱力学関係式を用いてこの圧力依存性から元素の持つ非調和性(非線形性)の指標であるグリューナイゼン定数を算出した。その結果、グリューナイゼン定数は共鳴振動モードによって大きく値が変化するものの、高周波数領域では一定値へ収束する傾向が伺えた。そこでこの収束値を元素ごとに算出し、得られた結果を既存のグリューナイゼン定数の報告値と比較した結果、両者は定量的に極めて良く一致することが明らかとなった。この結果は、準調和近似理論を用いて計算された共鳴周波数の圧力依存性が定量的に正しいことを示す、一つの客観的な検証結果を与えている。
これらの結果から、準線形共鳴振動理論は完成したと考えることができ、さらにこの理論を用いることで、固体材料の共鳴周波数とその圧力依存性の計測とその逆解析から、原理的には全ての弾性定数と、ほぼ全ての三次弾性定数を決定することが可能となった。これは、本研究における当初の研究目的がほぼ達成されたことを意味している。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Remarks |
本研究成果を含むこれまでの研究成果が認められ,研究代表者は平成27年度の文部科学大臣表彰(若手科学者賞)を受賞した.この受賞は,上記(1)~(5)のwebページでアナウンスされた.
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