2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23686025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平方 寛之 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40362454)
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Keywords | ナノ構造 / 界面 / 破壊 / クリープ / 材料強度 |
Research Abstract |
低応力、高温下において時間依存型の変形が進行し破壊に至るクリープの存在は良く知られている。クリープは応力を駆動力とする原子の拡散によってもたらされるため、高速拡散路である表面や界面の割合が極めて大きいナノスケールの材料は、バルクとは大きく異なる特性を示すと考えられる。一方、異材界面は、原子構造の不整合とともに力学的性質の不連続部でもあり、複雑な破壊が進行する箇所である。本研究では、次世代ナノデバイスの中核を担う寸法が10mオーダーの金属ナノ構造体の界面を対象として、クリープ界面強度実験法を開発するとともに、変形・破壊機構の解明を通じてクリープ界面破壊の支配力学を明らかにすることを目的とする。 本年度は、現有の電子ビーム蒸着による動的斜め蒸着装置に、スパッタリングガンと基板温度制御装置を増設した。 これにより、真空を破らずにセラミックス硬質層とクリープを示す金属ナノ構造体を続けて作製することが可能になり、清浄な界面を有するナノ構造試験片の作製が可能になった。また、500℃までの基板温度制御が可能になり、ナノ構造の寸法制御、および構造作製後の熱処理による不純物や転位等の欠陥の低減が可能になった。本装置によって、Tiナノ構造体を、Si基板上、TiN薄膜上、およびTi薄膜上に作製し、種々の界面を有するナノ構造試験片を作製した。作製したナノ構造試験片に対して、現有の静電力負荷方式のナノ材料試験システムを用いて、一定荷重負荷(クリープ)実験を実現するための基礎検討を行った。とくに、装置を断熱カバーで覆うとともに、高精度温度計を用いた温度測定を行い、温度変動によるドリフトの影響を極力排除した環境下における実験を可能にした。これにより、ナノ構造界面に対するクリープおよびクリープ破壊実験を実現可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していた(1)試験システムの構築、および(2)ナノ構造作製技術の深化、について交付申請書の計画通りに進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
構築した試験システムを用いて、ナノ構造のクリープおよびクリープ界面破壊実験を本格的に実施する。なお、研究計画調書では、高温環境下での試験を計画していたが、今年度の予備検討により、室温下においても有意なクリープ変形やクリープ破壊が観測されたため、室温下におけるクリープ界面破壊実験を基に支配力学に関する検討を進める。一方、現状の試験システムは、オープンループ制御によって荷重を制御しているため、試験片が大きくクリープ変形すると負荷荷重が低下し厳密なクリープ試験ができない。そこで、クローズドループのフィードバック制御ができるように試験システムの拡張を実施する。
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