2012 Fiscal Year Annual Research Report
10nm-nodeに向けた非接触光リソグラフィー技術の開発
Project/Area Number |
23686026
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上野 貢生 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (00431346)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 10 nm-node / ナノギャップ / ナノ・マイクロ加工 / プラズモニクス / 近接場リソグラフィー |
Research Abstract |
平成24年度は、フォトレジスト基板と金属ナノ構造を有するフォトマスク基板間の非接触露光を実現するために、時間領域差分法を用いた電磁場解析を行い、基板間の中間層について最適な屈折率を有する材料を検討した。種々の屈折率の材料を用いて電磁場解析を行った結果、金属ナノ構造からの散乱光を利用した伝搬光による露光の場合はレジストとの屈折率のマッチングが重要であるが、近接場露光技術においてはフォトマスクとレジスト基板間の距離が重要なパラメータであることが明らかになった。つまり、近接場露光技術では、限りなくフォトマスク基板とレジスト基板間の距離は小さくしなければならず、10 nm程度が限界の距離であることが明らかになった。一方、実験では、近接場リソグラフィー技術だけではなく、プラズモン共鳴に基づく伝搬光により高分解能に露光する技術を確立した。フォトマスクは、ネガ型電子ビーム露光用レジストであるXR-1541(Dow Corning Co.)を用いてガラス基板上にナノ構造をパターニングし、構造基板上に金を10 nmスパッタリングにより成膜することにより作製した。作製したフォトマスク基板の分光特性を検討した結果、時間領域差分法によるシミュレーションの解析結果とよい一致を示した。また、ラインアンドスペースパターンだけではなく、さまざまな形状のパターンを作製可能であることを明らかにした。さらに、平成24年度は、原子層堆積装置を用いて金ナノ構造基板上に厚さ1 nmの酸化アルミナ膜を形成する技術を確立した。系統的に酸化アルミナの厚みを変化させて分光特性や光電場増強効果について蛍光・蛍光寿命測定などにより検討したところ、理論通り蛍光分子と金ナノ構造間に1 nmの間隙があることを確認した。したがって、本技術が非接触近接場露光技術をデモンストレーションするために有用であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、フォトマスク基板とフォトレジスト基板との中間層について最適な屈折率を有する材料を電磁場解析により模索すること、近接場リソグラフィーではなくプラズモン共鳴に基づく散乱成分の光を光源として用いて伝搬光による露光技術を確立することを当初の目標としていた。実際には、電磁場解析により最適な中間層の種類や厚みを明らかにするとともに、偏光露光光学系の構築が必要で平成26年度に持ち越す実験は若干生じたものの伝搬光による露光技術を確立し、種々のパターンを形成することに成功した。さらに、当初の計画を超えて、非接触露光技術をデモンストレーションするために、原子層堆積装置を用いて金ナノ構造基板上に厚さ1 nmの酸化アルミナ膜を成膜する技術を確立し、その分光特性や光電場増強効果について明らかにすることに成功した。したがって、本研究が当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、平成24年度に引き続きネガ型電子ビーム露光用レジストであるXR-1541(Dow Corning Co.)を用いてガラス基板上にナノパターンを作製し、金を10 nmスパッタリングにより成膜することにより金ナノ構造を有するフォトマスクの作製を行う。作製したフォトマスク基板に、原子層堆積装置を用いて金ナノ構造基板上に厚さ1 nmの酸化アルミナ膜を成膜する。作製したフォトマスクを用いて、フォトレジスト基板に転写露光を行い、非接触露光技術のデモンストレーションを行う。形成されたナノパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、開発したプラズモンリソグラフィー技術の評価を行う。電磁場解析シミュレーション結果と実験結果を比較するとともに、実験結果をフィードバックして露光条件を最適化する。最後に、本研究を総括する。
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