2012 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ液体薄膜による潤滑技術確立に向けた力学モデルの構築に関する研究
Project/Area Number |
23686028
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 伸太郎 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (50377826)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | ナノトライボロジー / 薄膜潤滑 |
Research Abstract |
ナノ厚さ潤滑薄膜の力学モデル構築に向けて,摺動時における液架橋形状の測定法を確立し,力学応答との同時計測を実現することを目的とした.力学応答の測定には従来研究において開発したファイバーウォブリング法(FWM)を用いることとした.FWMでは先端を球形に加工した光ファイバーを摺動子として用いる.先端で潤滑膜を摺動したときのファイバーのたわみを高感度に検出してせん断力を測定する.FWMで測定された力学応答から力学モデルを構築するには,摺動子先端と潤滑膜との接触面積を精確に同定する必要がある.とくに液体膜は摺動子先端に濡れ広がり液架橋を形成する.透明かつ高さ数nmの液架橋形状を測定するために,試料下側より摺動子先端表面を顕微鏡観察することとした.前年度までは固液界面における反射率の減少を利用し,微分干渉顕微法によって接触領域の観察に成功した.ただし,観察が可能な基板は光学的に透過性の高い石英ガラス基板のみであった.そこで今年度は,実際の機械システムで想定される硬質炭素膜をガラス基板上に厚さ数十ナノメートルで成膜し,その上に塗布された潤滑膜の観察を試みた.光の透過性が低下するために観察には冷却型の高感度CCDカメラを用いた.また,多光束干渉モデルによる数値解析によって,観察に最適な炭素膜の厚さについて検討した.その結果,ガラス基板の場合と同様に硬質炭素膜上での観察が可能となった.力学計測においては,摺動の速度が実際の機械システムで想定されるものより,1~2桁遅いという問題があった.そこで,摺動子の共振を利用した高速化を着想し,最高0.1m/s以上を実現した.これによって高せん断率領域での力学計測が可能となり,摺動速度の増加と共に潤滑膜の粘性が指数的に減少することを見出した.これはナノ厚さの液体潤滑膜に特有の現象であり,潤滑設計において基盤的な知見となりうるものである.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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